【青森生活記録vol.1】迎えたる冬
1.はじまりはいつも雪
青森生活をはじめてから半年が経過し、ついに恐れていた事態が発生した。
雪である。冬の到来である。
それは実家に帰省し、スタッドレスタイヤに履き替えた帰り道の出来事だった。
帰青中、滝沢PAを過ぎたあたりから雪が舞いはじめ、津軽ICを過ぎたあたりで道路が白くなっていくのを見たときは、タイミングの悪さ(良さ?)に震え上がった。
吹き荒ぶ雪、狭くなる視界。
思考までもが白く濁り、眼前と迫りくる長く厳しい冬への恐怖と不安から、遠い目をしかけたその瞬間、脳内に朧気に響いた声。
「少年よ。武器をとれ。」
これは神のお告げか。
もしくは悪魔の囁きか。
そうだ。武器を持てばいい。
彼の寺山修司の「書を捨てよ、町へ出よう」という格言を思い出す。
雪国の人間であれば誰しもが持っている武器。
そう、スコップだ。
2.現地調達
ということで、やってきたのは青森市内のホームセンター。
店頭には早速色とりどりのスコップたちがお出迎えだ。
品揃えがすごい。
伊達に雪国やってないな。ここ津軽だけど。
はてさて、衝動に駆られてやってきたのはいいものの、種類が多すぎて迷うな。
穴あいてて水気とれるやつ。便利!
幅広なやつ。効率よさそう。
鉄のやつ。強そう。
子ども向けなやつ。雪国の英才教育。恐るべし。
ほとほと迷ってしまっていると、不意に職場の青森県民から言われた言葉を思いだした。
青森県民:車に積んでおけるスコップもあるといいよ。タイヤが雪にとられたときに便利だから。あと、プラスチックより鉄のほうが頑丈で安心。
わたし:なるほど、勉強になります!
そんな会話があったっけなあ、、
3.選ばれたのは○○でした
寒さで思考回路が弱まる中、ようやく出した答えがこれだ!
私なりの購入理由
①鉄の小さめのやつ
・鉄で頑丈そうだから
・小さめで車に積めるから
・スコップ三味線ができるから
・店長イチ押しだから
②穴あいてるやつ
・水気とれそうで便利だから
・駐車場で車同士のスキマも入っていけそうな絶妙なサイズ感
・名前がめっちゃかっこいい!
店内に向かうと、レジはスコップを悠々と置けるサイズ感になっていた。
さすがだ青森。抜かりなし。
颯爽と会計を済ませると、二本のスコップを手に店内をあとにする。
右手に穴あきスコップ、左手に鉄スコップを抱え、出入口から登場した様は、まるで宮本武蔵のように見えただろう。
そう、これから決闘に行くのだ。
自然という名の永遠の好敵手との。
4.武装
マイカーに積みこまれた二本のスコップ。
そしてmyギター。
一言でかっけえ、かっこよすぎる。
ギターと一緒になるとさらに乙というかなんというか。
なんかスコップもギターに見えてきた。
あれ?てかギターじゃね?これ。
というか、車汚すぎるだろ。
景色のすべてを白く、冷酷なほどに美しくする雪も、車内まではどうしようもないってか。
〇編集後記
帰路、思わずとあるフレーズがフラッシュバックした。
born and death in Aomori
刹那の夏
born and death in Aomori
迎えたる冬
舞い散る雪に見た 過ぎし愛おしい日々
跳ねるは津軽の子ら ガガシコの夏
「青森エレジー(青森哀歌)」より
作詞・作曲・歌 ムラカミ