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【満腹放浪記14】助け合いのどんぶり 〜 もりのや(只越町)

移住者にして釜石の食のオーソリティがんちゃん #feriaskamaishi
そのがんちゃんといく「がんちゃんむらさんの 満腹放浪記」

今回は「そば処 もりのや」

「もりのや」といえば、カツ丼セット。
カツ丼と小さいおそばがついてくる。

わたしはカツ丼セット、しかしがんちゃんは牛丼セット。
なぜならがんちゃん、つい最近ここへ来てカツ丼セットを食べている。
わたしはその投稿を見て、もりのやのカツ丼セットを食べたくなった。
がんちゃんはなぜ、連続してもりのやなのか。

もともと、郵便局近くの喫茶店Yカタに行くはずだった。
が、Yカタは痛恨の定休日。
Yカタはパフェが有名。がんちゃん、今回はパフェ狙いだった。

じゃあ、ということで、ゲストのとっつーがYカタから歩いて2分、
ツルハドラッグの近くにあるSキヤを提案。
がんちゃん、とっつー、わたしとで、Sキヤを目指して歩き出す。

Sキヤについた。ドア前には「OPEN」のプレートがぶら下がっている。
3人、小さくガッツポーズ。

が、Sキヤのドアも施錠されて開かなかった。
痛恨のダブル定休日。
前回のもつラーメン、餃子パターンと同じ。

もりのやはSキヤの斜め前にある。
しぶるがんちゃんを口説き落として、
もりのやの暖簾をくぐる。

普段はセットメニューは注文しないわたしだけど、
今回はその禁を破り、カツ丼セット。
なぜなら、なんとなく懐かしくなったから。

2011年の被災以来、釜石に通っていた。
がれき撤去が進み、街の灯りが灯るようになり、
公園に建てられていた仮設の商店街から、
街なかに店舗を構えるお店もだんだん増えていった。

がんちゃんは牛丼セット

そうした時期に、ラグビー関係者でいつもわたしの案内役をしてくれていたMスダさんがつれてきてくれたのが「もりのや」。
そして、カツ丼セットを食べていた。
わたしもまだ40代で、食もそこそこ量がいけていたたのか、
もりのやのカツ丼セットはよく食べた。

ごはんとカツの間に、生の玉ねぎスライスが敷いてあって、
その玉ねぎに、カツをたまごで包み込むためのおつゆが染みて、
ピリッとして、しかし甘さもあって、という名脇役をつとめ、
主役たるカツをいっそう引き立てる。

カツも豚肉が柔らかで、コロモとたまごがそれを抱きしめ、
ああなんて幸せなんだろうか、とハシが進む。

でもやっぱり、食べきれないので、
がんちゃんにごはんを、とっつーにはカツとごはんをおすそ分け。
とっつー、ダイエット中で昨日はキャベツしか食べてなくて、
「お腹すいた〜」を連発してたから、
たくわん2切れが乗ってた小皿にごはんとカツをのっけて差し上げる。

冷風麺(れいふうめん)=冷やし中華を前にして喜びの踊りを踊るとっつー

やっとのことで完食したら、
どんぶりには違うお店の名前が書かれていた。

お店の人に聞いたら、
津波でなにもかも流れてしまった。
お店を再開するときに、「使ってください」とどんぶりをいくつか分けてもらった。
そのときのどんぶりを、いまでも使っている。
……ということだった。

震災から12年たった。
助け合いのどんぶりは、カツ丼を盛り続けている。


エリーは偶然の同席。天ぷらせいろ。