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ミュージアムのトリセツ

わたしたちはまだ美術館や博物館の楽しみ方を知らないのかも。

『こどもと大人のための ミュージアム思考』
のオビにはそう書いてある。

長蛇の列に並ぶのがイヤだから、
有名なアーティストの企画展には行きたくない。
じゃあ、誰も並んでいない、いつでも入れる常設展ならどうかというと、
有名じゃないアーティストの作品観てもなあ……、
有名な絵なんだけど、いまそれを観てもなあ……、
とか偉そうに思ったりする。

美術の教育を受けてこなかったからかな。

そういう学びの場だったり、
学ぼうとするコミュニティだったり、
使い方を教えてくれて、使い方を知らないと、
美術館や博物館は「ないも同然」(同書p63)。

絵を観る、ということは、その作家を想像すること、
作家が生きた時代とか社会とかを想像すること、
作家と向き合うこと。

ミュージアムは、「研究」「保管」「展示」「教育」の役割のほかに、
「コミュニケーション」を促す場でもある。

何度か対話型鑑賞をやったことがある。
何人かで同じ絵を観て、感想とか気がついたことを語りあう。
そうすると、自分では気が付かなかったことに出会う。

絵を観て、コミュニケーションして、知識や記憶をシェアする。
そのために、いろんな絵や彫刻や書を提示してくれるメディアが、
ミュージアムなんだろうな。



『こどもと大人のための ミュージアム思考』 稲庭彩和子編著 伊藤達矢、河野佑美、鈴木智香子、渡邊祐子著 左右社 2022年