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もうそろそろそのままでいいようになるかも

元同僚のトシさんと話をしていたら、
トシさんは最近、認知症のことを研究しているのだという。

それで、
「with認知症な世の中になるといいね」
と。

勧められた本を開けてみると、
こんな言葉にまず出会った。

約40年前、全国の調査で、ある地域だけが認知症(当時は「痴呆」)が少ないことが注目された。島根県の隠岐の島である。何か秘密があるのかと原因を調べたら、他の地域で「痴呆」だといって問題にしている行動を、島の人たちは高齢者の当然の振る舞いだと受け止め問題視していなかったことがわかった。そのために、痴呆の数として統計に上がってこなかったのだ。

『認知症 そのままでいい』 p18

歳をとったら、もの忘れをするのが当たり前で、
そうなるのが自然なことなんだ、と。

アタマがクリアな人を標準として、
そこから外れた人たちは規格外である、
としているのがいまの世の中で、
それでいて「多様性」とかいっている。

with認知症だったり、withコロナだったり、
with○○はいろいろと考えられる。
with○○が当たり前の世の中で生きていくのはめんどくさいかもしれないが、
そう思うこと自体がすでに、アタマがクリア標準のものだ。

でも、そこからしか始まらない。
それでいいのか、と考えることから始めよう。


『認知症 そのままでいい』 上田諭 ちくま新書 2021年