マリンスタジアム

向田邦子の「昭和」

田植えまであと1週間ほどになった。
今年は初めて、集合場所を東京駅ではなく、
幕張本郷駅にした。
10連休にぶつかるから。

毎年GW中に田植えに行く。
首都高速→アクアライン→館山道→鴨川自然王国

去年はアクアラインまで2時間かかった。
10時に出発して、鴨川自然王国についたら14時過ぎていた。

今年は鉄道で渋滞を避け、
千葉側からスタートしよう、ということで、
昨日、幕張本郷駅を下見してきた。
マリンスタジアムの最寄り駅だった。

早稲田→西船橋→幕張本郷
およそ1時間。
車中、仕事用の本を読んでいたが、
柳家権太楼の自伝に切り替え、
気分が「昭和」になったので、
途中まで観ていた『阿修羅のごとく』をAmazonのプライムビデオで。

向田邦子原作、森田芳光監督、2003年公開。
舞台は昭和54年冬。
「三女滝子の突然の呼びかけで、久しぶりに竹沢家の4姉妹が集まった。70歳を超える父に愛人と子どもがいるというのだ。にわかには信じられないうわさだが、母の耳には入れないようにと約束する姉妹。この事件を機に、一見平和に見えた女たちがそれぞれに抱える、日常のさまざまな事件が露呈してくる」

4姉妹は長女大竹しのぶ、次女黒木瞳、三女深津絵里、四女深田恭子。
父親は仲代達矢、母親は八千草薫。
大竹しのぶの愛人、坂東三津五郎。坂東三津五郎の妻、桃井かおり。
黒木瞳の夫、小林薫。娘、長澤まさみ。小林薫の秘書兼愛人、木村佳乃。
深津絵里の婚約者、中村獅童。
そして、仲代達矢の愛人は紺野美沙子。

司馬遼太郎に独特の「明治」があるように、
向田邦子にも独自の「昭和」がある。

心労で倒れた母親の病室に集まった4姉妹、
そして不倫している父親と次女の夫が入ってくる。
父親を激しくなじる次女と三女。
次女は夫にも、日頃の鬱憤をぶつける。
次女の怒りを
「お母さんが怒ってるのよ」
と表現する三女に、

「思い上がったことをいうな!」

と次女の夫。
自分のことと義父のことを重ねる次女の夫。
それを三女に指摘されたと勘違いする次女の夫。

「働いて働いて、家を建て、子どもたちを育て上げ、
そのあとに人生の艶があってなにがいけないんだ!」

向田邦子の「昭和」は、しびれるしかない。
電車の中で。