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友だちができたことが一番うれしい
「探究のテーマづくりを学ぶ」というテーマで、
釜石高校で授業をしてきた。
探究の学習のテーマを、どうやって見つけるのか。
その前に、探究の学習ってなんだろか、を考えてみる。
まず、「森のようちえん」を例にとった。
森のようちえんは、デンマークに生まれて世界中に広まった自然保育。
園舎がなく、園庭もない。
自然のなかで遊び、自然のなかで学ぶ。
特徴はみっつ。
ひとつは、みんなで育ち合うこと。
ひとりで考えたり、ひとりで行動したりするより、
みんなで考えたり、みんなで行動したりしたほうが、成果が大きい。
ふたつめは、自分で考えること。
子どもたちがやりたい遊びを決める。
遊びたいこと、学びたいことを、自分で決める。
どうやって遊びたいか、
どうやって学びたいか、自分で考える。
そして、夢中になって遊ぶ。
育ち合う、自分で考える、夢中になる。
そこで、「夢中」と「一生懸命」について考えてみた。
夢中と一生懸命、この違いはなにか。
どっちもハードワーク。
だけど、一生懸命は夢中にはかなわないです。
たとえば、一生懸命に勉強している人は、
夢中で勉強している人にかなわない。
なぜなのか?
それは、「やらされていること」「やらなきゃいけないこと」は、
一生懸命にできるけれども、夢中にはなれない。
夢中になれるのは、「やりたいこと」だから。
森のようちえんの子どもたちは、夢中になって遊ぶ。
なぜならば、自分たちでやりたいことをきめるから。
先生が決めて、やらないきゃいけないことをやっていないから。
自分たちが好きなことをして遊ぶ、やりたいことをして学ぶ。
次に、「答えは自分の中にある」という、コーチングの言葉を使って、
ヒーロー/ヒロインインタビューをした。
・今までで一番うれしかったことはなに?
・それはいつ?
・どこで?
・具体的に教えて下さい
・ほかにどんな人がいましたか?
・だれがいっしょに喜んでくれましたか?
そうすると、県大会で準優勝したとか、コンテストで金賞をもらったとか、
そういう成功体験のほかに、
「友だちはできないと思っていたけど、友だちができた」
ことがいままでで一番うれしかったこと、と答える生徒もいれば、
「いとこができたこと」
と答えて、
「赤ちゃんを初めて見て感動した、けど、育てるの大変だな〜」
と思って、
「お母さんに自分を育ててくれてるとき大変だった?」
と聞いてみたら、お母さんは、
「大変だったけど、かわいかったから大変じゃなかった」
って答えてくれて、
「いま考えたら、そっちのほうが一番うれしかったかも」
と。
「一番うれしかった」ことを聞いて、自己肯定感を意識させる。
「わたしだってなかなかできるじゃん」
と。
そして、一番うれしかったことのなかに、
「やりたいこと」「知りたいこと」が入っている可能性は大きい。
それは自分ではなかなか気が付かない。
だから、インタビューされるというやり方、
対話をして気がつく、という方法をとった。
ひさしぶりの授業で、反省することだらけだけど、
探究すべき自分の課題はみつかった。