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なんかちょっと違和感あった。

東京丸の内のAppleStore。
対応してくれているスタッフは、普通にしゃべってるんだけど、
なんかちょっと、かすかに調子がずれるときがある。

どこかの方言が抜けないんだろうな、と思った。
鹿児島っぽいかな。

やがてそのスタッフさんが、謎解きをしてくれた。
その人はiPhoneを2台持ちしてる。
1台は仕事用。
もう1台も、仕事用。

ちょっと大きめの仕事用iPhoneは、文字起こし専用。
しゃべったことをアプリがほぼ同時に文字にしてくれる。
YouTubeにも同時に字幕がでてくる機能があるけど、
それよりも格段に文字変換の精度が高い。
やっぱり仕事用のはディープラーニングしてるからか。

それはいいとして。

人生の途中までは聞こえていたらしい。
病気をして、聴力を失った。
でも、すごいトレーニングをしたんだろうな。
ホントに普通にしゃべっている。
自分でもときどきしゃべっていることを文字で確認しながら、
笑ったり、驚いたり、ちゃんと声と表情で表している。

大したもんだなあ、と尊敬した。
「でも、方言も入ってるんじゃない? 鹿児島?」
って聞いたら、
「うそ! 生まれは広島なんだけど、広島なまりが抜けてないんだ!」
とびっくりしていた。
たぶん、何度か指摘されたことがあるんだろう、
「ぼくの先生も、津軽弁が抜けない、っていってた」
と笑う。わたしも笑った。でも、ちょっぴり悲しくなった。
彼は、その津軽なまりを聞いたことがないはずだ。

彼(なんてニックネームだか忘れた)の影響で、
そのAppleStoreのスタッフ2人が、手話を覚えたそうだ。
そして、聞こえないお客さんに、そのスタッフたちが対応しているらしい。
さすがApple、ユニバーサルサービスだ。

無事にわたしの新しいiPhoneへのデータの移転が終わり、
わたしは
「ありがとう」
と手話で伝えた。
先週末のイベント「異言語空間への招待状」で覚えた手話だ。

彼はびっくりしていた。本気で驚いて、そして喜んで、
「なんで!? なんで手話できるの!?」「もー、最初からいってよ〜!」

わたしもかなり嬉しかった。
そのゲームで覚えた手話はそれひとつだけだけど。
左の手を胸の前に持ってきて、
右の手のひらでちょーんと軽く叩いて、
「ありがとね」