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ハトが巣をつくりましたので

与論島に来た。
ワーケーションしに。

13時の那覇空港発のプロペラ機に乗り、
13時40分に与論空港に着く。
「ヨロン島ビレッジ」からお迎えのクルマが来てて、
顔なじみのお兄さんにホテルまで、ほかのお客さんといっしょに乗せていってもらう。

ヨロン島ビレッジは、ホテル部門とペンション部門があって、
ペンションにはわりと長期滞在の人が多い。
理由は、安いから。
ホテル部門が全室オーシャンビューで広いワンルームなのに対し、
ペンション部門にはそうした景色がないし、
ベッドと1m四方ぐらいの小さいテーブル、狭いスペースだ。
だけど、青々しいホテルの中庭でも十分楽しめるし、
タイルづくりの廊下を、みんな仕切りのないベランダ代わりに使っている。

まずは牛飼いの友人あけみヤカ(兄)のところに挨拶にいった。
友人といってもあけみヤカは60歳をとっくに超えてて、
55歳のわたしよりもずっと年上なんだけど、
わたしはときどきタメ口をきかせてもらっている。

与論島に通い始めて20年ぐらいになる。
友人も知ってるお店も、まったく多くない。
いつもの人と、いつもの場所で、いつもと同じように過ごしている。

あけみヤカの“別荘”トレーラーハウスに、
ハトが巣をつくった。

あけみヤカは食事と夜寝るとき以外、
そのトレーラーハウスでゆったりしている。
テレビもカラオケもトイレも台所もついているから、
ホントに快適な別荘だ。

そのトレーラーハウスに母ハトが巣をつくり始めたとき、
「ハトが集めてきた小枝なんか、ポイポイ捨ててたんだけど、
またいつの間にか拾ってきて、巣をつくっちゃんたんだよね」
と。
そうこうしているうちにタマゴを産み、
インキュベート(孵化)させ始めた。
そうなればもう、邪魔はできない。

210915ハトが巣をつくりましたのでお知らせします1

そうこうしているうちに、台風がやってくるということになった。
トレーラーハウスは半身が大きく開くような構造になっていて、
もしその半身を閉じれば、ハトの巣は潰されることにある。
沖縄に近づいてきている台風が与論島にまでやってくれば、
トレーラーハウスを閉じないと、すべてが水浸しになってしまう。
あけみヤカの財産がなくなってしまう。

あけみヤカは気が気じゃなかった。

が、昨日、台風は軌道を大きく変え、
与論島への上陸も通過もなくなった。

あけみヤカもハトも、ひと安心である。
これから生まれてくるヒナも、命拾いをした。

タマゴは大切に育てないといけない。
あけみヤカにも、その役割分担が回ってきている。
あけみヤカの巣に、ハトの巣が加わったから。

あけみヤカのところからホテルに帰ってきて、
かばんから服や下着を出してタンスに入れ替え、
読むか読まないかわからない本をベッドサイドに並べた。
こうして、ホテルの狭いスペースを、
居心地のいいスペースに仕立て上げた。
(ペンション部門だけど、小さくて気持ちがいい)

わたしにとっての、巣づくりである。