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遠野物語の不思議な体験
遠野物語
不思議なこともあるもんだなあ、と。
目にいい神様だというので拝んだ。
「左目が治るといいなあ」
と。
そしたら、そのお堂からでて薄暗い室内を歩いていたら、
見えにくい左目がなんとなくだけど、見えるようになった。
遠野の伝承園に行ってきた。
伝承園には、1750年ごろに建てられた古民家があり、
その中にオシラ堂というのがあって、
オシラサマを祀ってある。
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古民家は「南部曲り家」で、Lの字に建てられていて、
短い辺には馬が、長い辺には人間が共生していた。
東北では馬が農業生産には欠かせない動物で、
とっても大事にされていた。
オシラサマ伝説は、馬とその家の娘との恋物語からきたもの。
農家の娘が飼い馬に恋をして、それに父親が怒り、
馬を殺してしまう。
娘は泣いて馬にすがりついたところ、
死んだはずの馬と娘は天に登ってしまい、
オシラサマという神様になった。
その後、娘は父親の夢枕に立って、
蚕を授け育て方を教えた。
オシラ堂には1000体のオシラサマがどーっと祀ってあって、
目の神さま、女性の病気の神さまとして信仰されている。
お賽銭を払って着布に願いことを書いて、
オシラサマに着せてあげると、
願いがかなう、らしい。
語り部さんは大盛況
拝んでみると、たしかに目がかなり治った心持ちがしたので、
オシラサマ伝説を語り部のおばあさんが語るというので、
語りを聞きに行ったら大勢の人たちがやってきて大盛況。
なんでこんなに人気があるのか。
聴衆はお年寄りだけじゃなくて、若い人たち、
小さな子どもを連れたファミリーも。
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「座敷わらし」とか「2度咲く野菊」とか「とうふとコンニャク」とか、
いくつかの遠野物語を、
マイルドな方言で語ってくれてるのを板の間に座って聞いてて、
眠くなるんだろうなあ、と思って聞いていたら、
ついちょっと前に霊験あらたかだったこともあり、
ほんわかとしている語り口もあり、
すごく心にしみるように物語が入ってきた。
遠野物語、いいなあ、と。
みんな不思議体験があるから、こんなに人が集まるんだろうか。
一夜明けて
いまはもう、元通りのやや不自由な、ちょっとぼんやりした見え方の目に戻っている。
オシラサマのお堂の一瞬はなんだったんだろう。
なんだったんだろう、というか、
薄暗い室内での光の加減の影響だったんだろうけど、
でも、オシラサマが一瞬願いをかなえてくれたんだと思ったら、
なんか楽しくなってくる。
もう一回、いやもう何回か、
オシラサマを拝みにいってみようかなとすら思っている。
伝承園は、けっこうリピーターがいるらしい。
わかる気がした。