成長する子どもたちが枯れていく公園をよみがえらせる
さよならじゃなくて、ありがとうのリボンを巻いた。
そして、成長して大きくなった子どもたちの写真を撮った。
こすもす公園(釜石)の「ReBornプロジェクト」が始まった。
2011年につくり始めて、
2012年にオープンした「こすもす公園」は、
もともと藤井了さんサエコさん夫婦の畑だった。
震災直後、小学校の校庭や街なかの公園に仮設住宅が建ち、
子どもたちが遊ぶ場所がなくなった。
そんな子どもたちのために、畑をつぶして公園をつくった。
去年からコロナということもあり、
遊具が古くなってちょっと危ない箇所がでてきたこともあり、
一時的に閉鎖してた。
使わなかったら、よけいにどんどんヤバさがまして、
こりゃなんとかしなきゃいけない。
公園を新しく生まれ変わらせないとね、
そのプロジェクトを立ち上げるにあたって、
まずは、「希望の壁画」に等身大の自画像を描いた子どもたちに集まってもらって、
小さかったころの自分と手をつないで写真を撮ろう。
成長の記録としての写真を撮ろう、ということになった。
3月28日(日)10:00スタートのこのイベントに、
9:50ごろいったらもう、駐車場にはクルマがぱんぱん。
しかもどんどん増えていって、スタッフのクルマをどこか合法的に駐車できるところに移動しなければいけない、という事態にまでなった。
絵の自分より背が倍以上伸びた子、
高校の制服を着て写真を取りに来た子、
来れない孫の代わりにやってきたおばあちゃん、
写真を撮るときはみんな、マスクを取って笑顔になって、
カメラマンのカメラと、おかあさんのスマホに収まった。
公園をつくっていたころのスタッフや、手伝ってくれてたボランティアの人たち、
SNSで情報を見て来てくれた人たち、
プロジェクトを立ち上げたメンバーの友人たち、
クルマで1時間2時間かけてでもこすもす公園のReBornに集まってくれた。
「希望の壁画」を描いてくれた画家さんはタイから、
プロデュースしてくれた方は東京から、
オンラインで参加してくれた。
プライベートな場所をオープンにして、
みんなが使えるようにパブリックな場所をつくった。
被災した体験が風化するように、
公園での思い出も薄くなっていく。
手作りの遊具は朽ちていく。
だから、この公園で遊んだ子どもたち、
この公園にかかわった大人たちが、
見えないリボンでつながり直して、
公園を共有する空間としてre-born、生まれ変わらせる。
その一番最初に、
成長した子どもたちが写真を撮り、
その子たちが、ありがとうのリボンを結んで、
古くなった遊具に別れを告げた。