「子育て罰」と子ども家庭庁
「子育て罰」という言葉がある。
児童手当などの「現金給付」、
保育や教育の無償化などの「現物給付」は、
所得の階層ごとに差別化され、
高所得層は給付を受けられず、
中所得層は給付を打ち切られる恐れを抱き、
低所得層はまったく足りていない。
企業は雇用、賃金、昇進などにおいて女性を差別し、
子どもを持つ母親の就労の不安定さは、
このコロナ社会になってますます問題が明らかになった。
そのうえで、企業も社会も、
子育ては母親がやるもの、という意識を強く持っている。
一方若い父親も、長時間労働(在宅勤務でも)や非正規労働の拡大で、
子育てに参加できない状況にある。
高校、大学での教育費は家庭の負担であり、
社会が負担するものではない「親負担ルール」。
子ども家庭庁が発足した。
子ども家庭庁は3つの部門で子ども子育てに関する課題に取り組む。
(1)全体のまとめ 「長官官房」 【少子化】
(2)すべての子どもの育ちを応援 「成育局」 【妊娠出産】【児童手当】【保育園】【性被害防止】
(3)困難を抱える子どもや親のサポート 「支援局」 【虐待】【ヤングケアラー】【貧困】【いじめ】
教育に関しては文部科学省と連携し、
ほかの省庁に改善を促す勧告権限を持っている。
子ども家庭庁は、「子育て罰」をなくして欲しい。
そうじゃなければ、日本から子どもがいなくなる。
それを後押しするのが有権者だ、
社会をつくっているのはオトナたちだ、
ということを忘れてはいけない。
『子育て罰 「親子に冷たい日本」を変えるには』 末富芳、桜井啓太 光文社新書 2021