話半分に聞いておこうかなと思っていた。
サチン・チョードリーさんが釜石で講演。
アヤシすぎる〜、うさんくさ〜。
でも、100人の定員に140人が集まった。釜石では異例のこと。
中学生、高校生も20人ほど来ている。
これはちょっと、いつもと違う。
講演の演題は「釜石から海外へ一歩踏み出すマインドセット」。
たしかに、中学生高校生にはぜひぜひ聞いてもらいたいし、
実際に一歩踏み出してもらいたい。
でもなあ……。
疑念は講演のマクラで消し飛んだ。
この日は朝から、東北新幹線が上下線でストップした。
郡山駅でのオーバーランが原因。
復旧の見通しはたたない、というニュースだった。
東京駅から乗車予定のサチンさんに主催者は、
「飛行機使ってでも来てください」
と。
これは、羽田空港から大阪の伊丹空港へ飛び、
伊丹空港から花巻空港へ、そこからクルマで釜石に、となる。
止まってるとは知らずに東京駅に来たサチンさんは、びっくりする。
黒山の人だかり、窓口には大行列。
まもなく復旧、運転再開するが、ダイヤには大幅な遅れが出ると。
サチンさんは考えた。
大行列に並んでも、おそらく2時間近く待たされる。
2時間かけてチケットをチェンジした方がいいか、
飛行機で行った方がいいか。
いや、並ばずに新幹線に乗れる方法はないのか。
サチンさんは駅員に尋ねた。
「どうやったら並ばずに乗れるか」
駅員は、新花巻駅じゃなく盛岡駅までいって、盛岡駅で精算することもできる、と。
それならば、と新幹線に乗り込み、釜石からのお迎えを、新花巻ではなく盛岡駅に変えてもらった。
サチンさんは、
「あきらめないこと、決断すること」
「そして、思考の枠を超えること」
枠を超える、というのが「ジュガール」というインドの考え方だと。
なるほど~。思考の固定化、バイアスを外す、だね。
ということで、うさんくさいと思っていたわたしは、
素直なこころで、「ジュガール」で、サチンさんの話を聞くことにした。
<つづく>