![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/83472993/rectangle_large_type_2_66656656f045ca93efe3ac5462880445.jpeg?width=1200)
【ヨロン島】ヨロン島とリクルートのハイブリッド
【ゆんぬんちゅ<ヨロンの人>① まなび島 田畑香織さん】
小さな高校と大きな大学とのコラボレーション
ヨロン島で「まなび島」という学習塾を経営しているカオリさんは、
いま大忙しだ。
8月1日から始まる東京大学と与論高校とのコラボレーション「サイエンスキャンプ」の準備が、まさに大詰めなので。
全校生徒150人の小さな高校と東京大学。
それに与論町と教育委員会もからんでいるプロジェクトの事務局を、
「まなび島」が担っている。
「まなび島」は、たんなる学習塾ではない。
リストから消えた母校
前職のリクルートでは進路部門にいた。
全国の高校がリストアップされて、ざーっと営業をかける。
ところが、与論高校はそのときのリストの中に入っていなかった。
「与論高校は一学年50人、進学先や就職先つまり進路がバラバラ。
この学校に力を入れてもしょうがない。
“経済合理性”でいえば当然なんですよね」
でも、やばいと思った。
ふと気がつけば、35歳になっていた。
リクルートでは早期退職のカルチャーと制度があり、
転職する、起業する、そのまま残る、の選択を迫られる。
10年先のことを考えた。
「残っても課長や部長にはなれるとは思いましたけど、
そうじゃなくて、あと10年でどれだけおもしろいことができるかにチャレンジしたい」
と、ふるさとヨロン島に帰ってきた。
で、立ち上げたのが「まなび島」。
「島の教育を変えたいと思って」
なかなか前には進めない
応援してくれる仲間もいるし、大人たちもいた。
中学、高校にも入り込んでいって、
「まなび島」で学ぶ子どもたちも順調に増えていった。
だけど、「教育を変えたい」思いが、どうもしっくりいかない。
「教育を変えたい」んだけど、
どう「教育を変える」のか。
「教育を変えた」先に、何があるのか。
与論町といっしょになって、「与論イノベーんちゅAWARD」を企画した。
中学生、高校生、社会人が集まり、
地域の課題解決のプランを、学びながらつくっていくプログラム。
そのプランを学びの成果発表というかたちでプレゼンテーションし、
<大賞><グレートチャレンジ賞><ローカルインパクト賞><パッション大賞>
の4つのAWARDを獲得していく。
自分たちで事業をつくって、地域の課題を解決できる人材を育てる。
……ということは、どんな地域でもやっていることだろう。
それがカオリさんの目指す「教育を変える」なのかというと、そうではなく、
「そうした人材を支援できる人材を育てる。
学びたい人、何かやりたい人、に対して、
じゃあどうやっておカネをもってくるか、
どうやってヒトを探してくるか」
ヒト、モノ、カネ、情報を集めて結びつける。
マッチングできる人を育てる、ということだ。
そういうことだったのか、、
自分がやりたいことに気がついた。
ヨロン島のリクルートのハイブリッド
自分じゃない誰かのために、汗をかく、仕事をする。
実はこれはヨロン島の文化でもある。
「誰かのお家が壊れたら、みんなで修理する。
台風が直撃する島ですから、事前の対策、事後の修理はしょっちゅう。
お礼に野菜だったり米だったり肉だったり」
そうした利他の精神が、ヨロン島の文化であるならば、
マッチングする人材を育てるのは、ヨロン島の教育にぴったりと合うだろう。
もうひとつ。
そもそも、リクルートという会社自体が、マッチングする会社ともいえる。
スタートは求人情報で、人がほしい会社と仕事がほしい人をマッチングする。
それを紙媒体でやっていたことを、ネットでやるようになった。
就職や転職などのマッチングだけではなく、
大学進学へのマッチングから、スタディサプリという学習ビジネスへと広がった。
カオリさんは意図してなかったかもしれないけれど、
身につけたスキルをふるさとのために活かそうとしている。
「まなび島」は、ただの学習塾ではなかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1658903338458-xQzymsgntW.jpg?width=1200)