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三島喜美代―未来への記憶 2024年

練馬区立美術館で2024に展示された三島喜美代の作品たち。残念ながら作家は2024年6月19日に他界された。直島に展示されている作品写真も掲載する。


未来への記憶  2024年

タイトル不明 段ボールを束ねたゴミをモデルにしたもの

三島喜美代といえば焼き物の作家として有名。ただしどの作品も普通の焼き物ではなく、ごみをかたどっている。廃棄されたものたちを精巧にうつしとり、粘土をこねて焼く。作り始めた当初は本当に理解を得にくかったと思う。高度経済成長期の70年代から、邪魔者にされるゴミたちをあえて焼き物のモデルにして作品にした。ユニークな作家である。

Comic Book03

少年ジャンプ。筆者も90年代にはよく読んだがこれは70年代のものか。表紙に歴史を感じる。読み捨てられたかのように無造作に広げられた形そのまま作品として生き延びている。

Work17 Pot

ポットをつつんだ新聞紙ごと焼き物と化している。三島喜美代の面白いのは、新聞紙を再現するのにスクリーンで転写する方法を使ったことによりよりリアルな「古紙のごみ」を作れたこと。


バナナボックス

段ボールに突っ込まれた新聞紙たち。いかにも邪魔者のごみのよう。

Information was shut

鉄筋コンクリートの中にゴミが詰め込まれている。

Comic Book03

少年ジャンプ、白い戦士ヤマト、どぐされ球団、どちらも聞いたことのないタイトル。日本がいまより元気だった時代の作品だろう。

段ボールごみをかたどった作品。


アルミ缶ではなく、焼き物。この作品のみ手に取ることができた。

未来への記憶

今回の展示で最も目を奪われた作品。展示室いっぱいに耐火煉瓦に新聞を転写した作品が並ぶ。新聞は20世紀の各時代の日付。戦前のものもある。


未来への記憶

これだけの作品を焼くのにどれだけかかったのだろうか。90代の作家だけに、時間のスケールが違う。いかに自分が志したこととはいえ、一つのことに人生をそそぎこめるのはすごい。

直島 屋外展示

もうひとつの再⽣ 2005−N

瀬戸内海に位置するアートの島、直島に常設されている作品。自転車で島を回るコース上にある。高さ3m程度。


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