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誰でもわかるリピーターをつくる顧客のランク付け ユアユニで生涯、学びの道を!WEEK9

こんにちは「師子吼する」です。このブログもつくるのが案外大変で、また更新に時間がかってしまいました。申し訳ありません。m(_ _)m

ユアユニのWEEK9の講座は「リピーターをつくる顧客のランク付け」についてです。

■幸せな経営

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リピーターをつくる

今まで事業では新規よりリピーターをつくることが大事だと述べてきたが、このリピーターをつくるには顧客の誰をリピーターにするのかなど、具体的にどうするかを学ぶが、まず事業の経営は戦う経営であってはならない、携帯電話の話になるがandroidスマホとiPhoneでは機能の面ではandroidスマホの方ができることが多い。しかしiPhoneはあえて操作のシンプルさとデザインに力を入れて、androidスマホに機能の面での真っ向勝負をしなかった。この戦わない経営によって今のiPhoneの成功がある。戦わない経営こそ幸せな経営なのだ。こんなことを言うと難しいが、簡単に言うと、自分の事業に人を惚れこませるということも戦わない経営の一つである。この惚れさせることがリピーターをつくることなのだ。ではリピーターをどうつくるか、以前なら、顧客と酒を飲んだり、食事をしたり、ゴルフをしたりなどして関係値を高めるオフラインの付き合いでリピーターになってもらっていたが、今の時代ではオフラインだけではだめで、オンラインでリピーターをつくらないといけない。オンラインでは深い人付き合いができないではないかと思われるが、これは大きな誤解である。オフラインでリピーターをつくろうとすると、先程述べたように、顧客と酒を飲んだり、食事をしたり、ゴルフをしたりなどと、工数や費用がたくさんかかる。しかしオンラインであれば、しっかりと的を得ていれば、信じられないだろうが、少ない工数や費用で顧客との関係値を高めてリピーターをつくることができる。
ではオフラインで関係値を高めるにはどうするか、まず顧客に八方美人ではいけない、逆に事業が八方塞がりになり行き詰まる。

パレ―トの法則

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竹花氏は消費者を上記のように潜在層・認知層・試し層・継続層・固定層・ファン層の6つの層に分けて考えている。上の層から解説すると

ファン層・・潜在層や認知層など、下位の層の人たちを店に連れてきたり、あるいはサービスや商品を下位の層の人たちに紹介したりして自社の事業を支えてくれる人。

固定層・・店に毎週、毎月のように来て利用する、あるいはサービスや商品を毎週、毎月のように買っている人。

継続層・・今までに店に2、3回だけ来て利用した、あるいはサービスや商品を2、3回だけ買っている人。2、3だけ利用したり買っただけでそこから長い期間、何もしていない人も含める。

試し層・・店に1回だけ来て利用した、あるいはサービスや商品を1回だけ買った人。

認知層・・自社の事業の存在だけ知っている人。

潜在層・・店、商品、サービスなどの自社の事業の存在をまったく知らない人。

昔の居酒屋やスナックなどでは客が食器を洗っていたりすることもあったが、それがまさにファン層の人なのである。イタリアの経済学者ビルフレッド・パレートは「パレートの法則」といって、ある全体の数値の80%は全体を構成する要素の20%だけが生み出しており、残り要素の80%は全体の数値の20%しか生み出していないという経験則を提唱した。このパレートの法則は様々な分野に用いられており、マーケティングでもよく用いられる。竹花氏の考えではこのパレートの法則を用いると、自社の顧客の全体の80%は潜在層・認知層・試し層の消費者から出てきた新規顧客であるが、新規顧客からの売上は全体の20%にしかなっていない。継続層・固定層・ファン層は既存顧客であり、既存顧客は顧客全体の20%しかいないが、売上は全体の80%も占めるとなる。もちろん本当に常に80%と20%の割合なのかはわからないし、理論的な根拠はない。日本のスーパーでは既存顧客の売上は60%、新規顧客の売上は40%であるともいわれており、実際には細かい分析をしないとわからない。しかし、偏っていることは確かである。
ではこの80%の売上を出す20%の既存顧客をどう見つけ出すか、あと20%の売上しか出さない80%の新規顧客をどうファン層まで持っていくか、これを行うことが幸せな経営につながる。

■RFM分析

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3つの指標

幸せな経営とは何か、竹花氏はこの話をするときに、よく高級な寿司屋を引き合いに出す。高級な寿司屋では、おしゃべりな客には寿司を握って出すスピードを遅くしたり、おまかせの注文であれば、女性、男性で出す寿司の量を変えたり、お得意客には優先的に良い席を確保したりなど、客に合わせてサービスの提供方法を変えている。それに高級寿司屋の大将は客一人ひとりの名前や職業を覚えて、コミュニティーをつくっており、大将がその中心にいる。大将は客に一緒に遊びに行こうと誘ったり、例えば客が新車が買いたいので誰か知らないかと大将に話せば、大将が自動車販売店に勤める別の客を紹介したりしてコミュニティーをまわす。大将はどの客をとくに大事にすべきかも知っていて、特定の客さえ大事にしておけばその下に他の客ついて、うまくコミュニティーがまわり寿司屋が繁盛する。寿司屋の大将は寿司を握って味で勝負しているだけではなく、寿司を握りながら客の会話をしっかり聞いて人も握っているのだ。しっかりしたビジネスはこのようなコミュニティーが成り立っていて幸せな経営ができている。では寿司屋の大将はどういうふうに大事にすべき客を決めているか、これはRFM分析という手法がある。RFM分析は1930年代にアメリカの通販業界で考案された、通販カタログを送らない顧客を見つけ出すための手法であった。詳しく説明すると、

Recency(直近の購入日)

顧客の購入情報のうち「購入日時」からその顧客が最後にサービス・商品を購入したのはいつかを洗い出し、その時期によってグループ分けする。最終購入日が近い顧客の方が、何年も前に購入した顧客より良い顧客だと考える。カタログ通販の例だと、最近購入していないグループの顧客にはカタログは送らないとなる。単価の低いサービス・商品は直近購入日は1週間以内とされることが多い。

Frequency(頻度)

顧客の購入情報のうち「購入頻度」からグループ分けして、サービス・商品の購入頻度が高い顧客ほど良い顧客だと考える。この値が高い顧客が多いなら常連顧客が多く、低い顧客が多いならサービス・商品に満足していない顧客が多いかもしれないというこがわかる。また、この値が高い顧客が多く、低い顧客が少ない場合は、新規顧客が少ないということになる。カタログ通販の例では、購入頻度が低いグループの顧客にはカタログは送らないとなる。

Monetary(購入金額)
顧客の購入情報のうち「購買履歴」から購買金額の総額を計算して、グループ分して、金額が大きいほど良い顧客だと考える。カタログ通販の例では購入金額が小さい顧客にはカタログは送らないとなる。

これら3つの指標でどれぐらいの期間内の購買行動を対象とするかは、商品の特性などによって決める。

顧客のランク付け

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このRFM分析を行い、顧客をランク付けする。失礼のようにも思えるが、クレジットカード会社はよく利用してくれる顧客にはポイントを多めに付けたり、特典を紹介したりするし、証券会社はよく利用してくれる顧客への営業マンの訪問回数を多くするようなランク付けを実際にしている。結果を出している会社の多くは顧客のランク付けをしっかりしているのだ。具体的なランク付けであるが、まずランク付けのルールをつくる。これは上記で述べたようにサービス・商品によって設定は違ってくるしRFM分析ではルールは厳密に決まっていない。まずランクそのものは5段階にする場合が多い。ひとつの例としてルールは点数制で上記のようになる。

Recency(直近の購入日)

ランク付けから直近2週間以内の購入で5点
2週間より前から1ヶ月以内購入で4点
1ヶ月より前から3ヶ月以内の購入で3点
3か月より前から6ヶ月以内で購入で2点
6ヶ月より前から購入がないなら1点

Frequency(頻度)

ランク付けから直近6ヶ月以内で11回以上の購入で5点
7回から10回の購入で4点
4回から6回の購入で3点
1回から3回購入で2点
購入がないなら1点

Monetary(購入金額)

過去10万円以上なら5点
6万円以上なら4点
3万円以上なら3点
1万円以上なら2点
2万円未満なら1点

以上の3つの項目の点数を足して合計スコアを出し、顧客をランク付けする

合計スコア15点・・Aランク
12点以上・・Bランク
8点以上・・Cランク
4点以上・・Dランク
3点・・Eランク

このようなランク設定を各自の事業の形態に合わせてつくる。これはオフラインでもオンラインの事業でも通用する。
例を出すとこのルールなら 顧客の鈴木さんは、
10日前にも購入しているので5点
10日前を含め直近6ヶ月以内に11回購入しているので5点
これまでに13万円分の購入があるので5点。
5点+5点+5点=15点で鈴木さんはAランクの顧客になる。

もうひとりの顧客の佐藤さんは
購入したのが8ヶ月前なので1点
この8ヶ月前が過去1回だけの購入なので1点
そのときの購入金額が2000円だけだったので1点
1点+1点+1点=3点で佐藤さんはEランクの顧客になる。
このルールでは最低点は3点以下にはならない。あと過去10万円以上購入した顧客はDランクから下がることはない。

ランクごとの施策

多数の顧客に様々な施策を平等に行うのは大変である。なので売上の80%に貢献してくれた20%の顧客をRFM分析で探し出して、その20%の顧客への施策に力を入れてしっかり掴んでおく。ランク付けの間隔も厳密に決まっていないが、一応この事例では6か月より前から購入ない客は1点としているのでここでは3月始めと9月始めににランク付けすることとする。しかしランク付けの間隔があまりに長いとAランクからDランクやEランクになっている顧客を見つけた場合には、既に顧客の心が完全に店から離れてしまっており、引き戻すのも大変難しくなる。

まず施策の例だが、顧客に対する施策を顧客との親密を深める順に考え施策のルールをつくると以下のようになる。

①Aランクになった顧客には次のランク付けの後にサービスの利用権や割引券などの特典を郵送や店での手渡しなどで贈る。Aランクの特典については以下の細かいルールを決める。

・特典はAランクになってから次のランク付けの後でかつAランクになった時点から1年の間に贈る。2度目と3度目のランクは下がってもよい。
・2度連続Aランクになった顧客には特典の価値を上げるが1年に1度しか送らない。3度目のランクは下がってもよい。特典の価値もAランクが連続する限り上げていく。
・Aランクが連続していたのが1度でも下がれば贈る特典の価値も最初のものに下げる。

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ややこしいので例を図にすると以上のようになる。

図の顧客は2021年3月、9月と2度連続でAランク。2022年3月にはBランク以下だが、9月のランク付けから2022年3月までには1年に1回の特典を贈る。2度連続Aランクなので特典は価値のあがったものになる。
2023年3月にはBランク以下になったが、9月にはAランク。2024年3月にはまたBランク以下のため、3月のランク付けから2024年9月までに特典を贈るが、価値は最初のものに下がっている。
2023年9月、2024年3月と2度連続でAランク。3月のランク付けから2024年9月までに特典を贈るが、2度連続Aランクなので特典は価値の上がったものになる。2024年9月、3月もAランクが続き、4度連続でAランク。この場合は2025年9月までに特典を贈る。ただし4度連続Aランクなので特典の価値はさらに上がったものになる。
2025年9月からは3度連続Bランク以下。2027年3月はAランク。9月にはまたBランク以下のため、3月のランク付けから2028年3月までに特典を贈るが、価値は最初のものに下がっている。

②Bランクになった顧客にはBランクになった時点から1年の間に1回手書きの手紙を贈る。2回以上連続でBランク以上になれば手紙は送り続けるが、手紙は1年の間に1回しか送らない。

③Cランクになった顧客にはCランクになった時点から1年の間に2回電話をする。ただし2回以上連続でCランク以上になれば電話はし続けるが、電話は1年の間に2回しかしない

④Dランク以上になった顧客には2か月に1回、DMを郵送する。

Aランクの顧客には①から④の施策をすべて行う
Bランクの顧客には②から④だけ行う。①はやらない。
Cランクの顧客には③と④だけ行う。①②はやらない。
Dランクの顧客には④だけ行う。①②③はやらない。
Eランクの顧客には何もしない。

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手紙、電話、特典はなるべく重ならないようにする。できればでよいが、手紙を出したり、電話をするのは長く顧客の来店がない時に行う。手紙や特典もなるべく顧客の誕生日、暑中見舞い、クリスマスなどの季節の行事に合わせたものにする。特典は安価なものでよいし、価値も少しづつ上げていけばよい。以上はあくまでも例であり、これと同じにしなくてもかまわない。Aランクの特典でサービスの利用権や割引券を用意する余裕がないなら、代わりにAランクで手書きの手紙でもよい。
Eランクの顧客に手紙を書く時間があるなら、Aランクの顧客の時間を費やした方がよい。この顧客は掴んでおかないとだめ、この顧客はどうでもいいなどという人の見極めで効率の良い経営が必要なのだ。このランク付けは、飲食店など様々な事業、価格の低いサービス・商品、一般的な高級商材活用もできる。

竹花氏が考える80%の売上を生む20%の顧客は過去ではなく最近の購入があり、購入頻度が多く、購入総額も大きいA・Bランクの顧客になる。竹花氏の経営する飲食店では大きな災害があったときに、対象地域に住むAランクの顧客にはお見舞いの電話をかけたり、Bランクの顧客にはメールやSNSのDMでお見舞いを送るようにするマニュアルがあり。最近の地震発生時にもその施策が行われた。あとのランクの顧客には何もしない。ひどいようだが、先程も述べたようにこれはたくさんの企業で行われている、効率的な経営を行うための施策なのである。

ただしRFM分析には限界もある。RFM分析は、車や土地、住宅など人の一生で数回しかないような極端な高級商材の販売には向かない。あと顧客をランク付けしてを可視化できるがが、あくまでも「ある時点での顧客分析」である。分析を行う時期が変われば、以前に行った分析結果を継続して活用することはできない。
あと先程出てきた佐藤さんだが購入が8か月前で、過去も1回で8000円だけしか購入かないので2021年3月1日のランク付けでは3点のEランク。しかし次の9月1日のランク付けの3日前の8月29日にいきなり合計9万5000円の購入があれば、

過去と今回の購入であわせて2回なので2点、
1週間以内の購入で5点、
過去の8000円と今回の9万5000円の購入で計10万3000円で5点
2点+5点+5点=12点でBランクになることもある。

RFM分析では、来店日、頻度、購入金額のみで顧客をランク付けするため、何を買ったのかまでは分からない。顧客がいつ何を購入しているのかを把握するためには、さらに細かな購買データを確認する必要があるが、竹花氏はここまで求めてはいない。

RF分析

次に1000円のものしか売っていないなど、単価が決まっている商品についての分析はどうするか、これはRFM分析の「Monetary」を除いた「RF分析」を行って客にランクをつける。

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上記のRF分析の表を説明するが、単価が決まっている商品は金額が関係ない。横軸は購入頻度、縦軸には直近購入日をとる。ランクを決める期間についてはRFM分析と同じように商品の特性などによって決める。

購入日が3ヶ月以内で購入頻度も高い顧客は「優良顧客」この顧客には囲い込みを強める施策を行う。

購入日が3ヶ月以内だが、購入頻度が低い顧客は「新規・通常顧客」この顧客にはより頻繁に来店・購入させる施策を行う。

購入頻度が高かったのに購入日が3ヶ月以前顧客は「離反顧客」この顧客は引っ越した、接客が悪かった、他社の商品に乗り換えたなどの何らかの理由で離れている。「優良顧客」に戻る可能性もあるので電話や手紙などで連絡を実際にとってみて再来店・再購入を促す施策を行う。

購入頻度が低く、購入日も3ヶ月以前である顧客は「休眠顧客」この顧客にはキャンペーンなどを知らせても意味がないので、まず自社のことを思い出させて「新規・通常顧客」になれるような施策を行う。

このように顧客それぞれの状況を考えて、その状況にあったような施策を考えるのである。

このRFM分析やRF分析をして施策を行うには顧客の個人情報が必要にもなる。ECサイトであれば住所などのデータは得やすいが、実店舗であれば、個人情報なら使用目的を説明し、提供された情報を守しっかりることと、個人情報の提供がメリットになることを顧客にアピールして、特典付のアンケートを顧客に書かせたり、ポイントのつくバーコード付の会員カードやアプリを活用し顧客の情報が得られるようにしないといけない。あと実店舗は顧客が少ないうちはどこの誰が店によく店に来てくれているのかわかりやすいが、多くなってくると記憶などを頼りできなくなる。そこで「POSレジ」を利用する。POSレジとはレジとPOSシステムが繋がったレジで、POSシステムは、「いつ」「何が」「いくつ」「いくらで」販売したかなど把握して管理が可能なシステムであり、顧客が支払いの時に会員カードやアプリを提示すれば、レジを通して顧客の個人情報と売上情報を結びつけてPOSシステムで管理することもできるので、有効なRFM分析と施策ができるようになる。POSレジもさまざまな事業者がいるので調べてみてもらいたい。

雪だるま式マーケティング

PUBGのヒット戦略

こうして顧客をランク付けして重要な顧客をおさえおくが、コミュニティーが小さいままだとどうしようもない。そこで竹花氏はPUBGというゲームのヒットを参考にするという。これは小さなコミュニティーを雪玉のように転がして大きな雪だるまにするように大きくする方法である。PUBGとは韓国のゲームメーカーであるBlueholeが発売した
「PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS(プレイヤーアンノウンズバトルグラウンズ)」という、離れ島で合計最大100人のプレイヤーが配置された武器、車両やアイテムを見つけ最後の1人が生き残る瞬間まで戦い続けるというオンラインゲームである。このゲームはストリーマー(ゲーム配信で生計を立てている人、スポンサー企業が付いている法人化されたゲーミングチームに所属し、ゲームのプレイを職業とするプロゲーマーとは違う)がゲームに関する小さなコミュニティーをつくっていた。メーカーはゲームをヒットさせるのにインフルエンサーを雇って宣伝させるのではなく、このコミュニティーに目をつけた。コミュニティーのリーターはたいてい「トップティア(そのゲームのプレイヤーで最強クラスにいる人、プレイヤーだけでなく、ゲームのキャラクターや戦術などでも一番強いものもトップティアとよばれる)」のストリーマーであったがメーカーはリーダーではなく、コミュニティーの中でゲームでは中間クラスのストリーマーの何人かに声をかけてパートナー契約を結び、独占的な情報やゲームの中で利用できるアイテム、実際のゲームグッズ、公式大会やネット番組への出場機会、テスト段階の新作をプレイして配信できるなどの特典を与えて配信へのモチベーションを保てるようにした。すでに配信で大きな収入を上げていたり、公式大会に何度も出て結果を出たしたりして成長しきっているコミュニティーのリーダーのトップティアとはこうした協力関係をつくるのが難しく人数も少ない。中間クラスであれば人数も多く、伸び代がありメーカーと共にゲームの中で成長していくという協力関係をつくりやすかった。あとメーカーはストリーマーに「与えてやっている」という上から目線で、ストリーマーに見返りを求めるようなこともしなかった。ビジネスパートナーとして対等な関係を心がけたのである。そうしてストリーマーがテスト段階の新作のプレイを配信したりすると、自分だけが配信できるという優越感にひたれるし、与えられた特典を活かしてインフルエンサーのようにゲームを宣伝し人に勧めることにより熱心になる、そうして配信を見た人がPUBGに興味を持つという状況になり、トップティアもそれに刺激されて、コミュニティーの活動がより活発化し、小さな雪玉でしかなかったコミュニティーがだんだん雪だるまのように大きくなっていった。コミュニティーも世界中に数多くつくられた。このヒット戦略は見事に当たり、PUBGはPC/PS4/Xbox One版の販売総数は7000万本を超え、モバイル版のダウンロード数も10億を超える世界的大ヒットとなった。

5AとOne to one marketing

このPUBGと同じことを事業で行う。今日は自分の店の顧客が広告になる時代である。以前の講座でも出てきたが、「近代マーケティングの父」と呼ばれるアメリカの経営学の権威、ノースウエスタン大学・ケロッグ経営大学院のフィリップ・コトラー特別教授は2010年代においては「5A」というマーケティングのフレームワークを提唱した。おさらいになるが解説すると

Aware(認知):他者からサービス・商品のことを気かされる。商品の広告を見たりする。過去の商品についての経験を思い出す。これは消費者が商品を「知った」という段階。

Appeal(訴求):サービス・商品に引き付けられる。多数の商品から自分にとってよいと思う、少数あるいは一つの商品を選ぶ。これは消費者が商品を「好きになっている」段階。

Ask(調査):知人にアドバイスを求める。ネットでサービス・商品のレビューを見る。コールセンターに電話をかけたり、メールで問い合わせて商品の詳しい情報を得る。これは消費者が商品を「よいと確信している」段階。ただこのまま④に進んで商品を買うのではなく、飛ばして⑤に進むこともある。

Act(行動):店舗やネットでサービス・商品を買う。実際に買った商品を使う。商品に問題があれば苦情を言う。商品のアフターサービスを利用する。これは消費者が商品を「買うつもり、あるいは買って使っている」段階。

Adovocate(推奨):同じサービス・商品を買って使い続ける。その商品を人に勧める。
これは消費者が「サービス・商品を周りに勧める」段階。

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⑤の推奨が繰り返されれば、コミュニティーが小さな雪玉から雪だるまのように大きくなっていく。今の段階で一番難しいのは①の認知を消費者に与えること。膨大な情報にあふれる今日では消費者に自分の店やサービスを見つけて知ってもらうのは至難の業であり、これはAIDMAやAISASなどの他のフレームワークでも同じである。しかし自分のサービス・商品を買っている顧客が知人ににそれを勧めれば、知人は①認知②訴求の段階はなくいきなり③調査から入る。その知人が顧客になり、また別の知人に勧めればまた③調査から入る。こうして⑤の推奨が繰りかえされれば、①認知②訴求の段階を踏まない「3A」の連鎖となりコミュニティーが雪だるまのように拡大される。認知や訴求のために大きな費用をかけて新規を呼び込むのではなく、1人の顧客を大事にすれば、その顧客が推奨をしてまた1人をつれてきてくれて、その1人が推奨してさらに1人つれてくるという循環が生まれれば、幸せな経営ができるということなのだ。

では5Aから3Aでコミュニティーを雪だるまのように大きくするにはどうするか。これは「One to one marketing」を行うことだ。One to one marketingはマーケティングとビジネスの国際的な専門家であるドン・ペッパーズ氏とマーサ・ロジャーズ氏の著書「The One to One Future(1993年)」で提唱されたもの。難しそうな言葉だが高度なテクノロジーの利用して何かするということではない。すべての顧客に同じアプローチをするのではなく顧客に1人1人に対してそれに合ったアプローチをして引き付ける。

ランク付けと施策の実践

ではその施策は具体的にどうするか、それは先程のRFM分析で顧客をランク付けして、①から⑤までの施策をマニュアル化して実践する。先程出てきたAランクの鈴木さんの例で施策の流れを説明する。ちなみに鈴木さんが利用しているのは店舗で、この店舗は購入した顧客にはランクを問わず、お礼のメールは必ず送っている。メールが受け取れない顧客にはお礼のカードを渡す。また、ランクを問わずSNSをやっている顧客には、店員が店員個人のSNSで顧客に2か月に1回コメントをする。(営業的なコメントはしない。)
この店舗は今回初めての顧客のランク付けをする。毎年3月、9月始めにランク付けを行うとして、ランク付けの得点ももう一度載せておく

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Recency(直近の購入日)

ランク付けから直近2週間以内の購入で5点
2週間より前から1ヶ月以内購入で4点
1ヶ月より前から3ヶ月以内の購入で3点
3か月より前から6ヶ月以内で購入で2点
6ヶ月より前から購入がないなら1点

Frequency(頻度)

ランク付けから直近6ヶ月以内で11回以上の購入で5点
7回から10回の購入で4点
4回から6回の購入で3点
1回から3回購入で2点
購入がないなら1点

Monetary(購入金額)

過去10万円以上なら5点
6万円以上なら4点
3万円以上なら3点
1万円以上なら2点
2万円未満なら1点

合計スコア15点・・Aランク
12点以上・・Bランク
8点以上・・Cランク
4点以上・・Dランク
3点・・Eランク

先程出てきた顧客の鈴木さんの例で説明する。
2021年3月1日のランク付けでは10日前の2月19日に購入しているので5点
3日前を含めて直近6ヶ月以内に11回購入しているので5点
これまでに13万円分の購入があるので5点。
合計スコアは5点+5点+5点=15点で鈴木さんはAランクになる。

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鈴木さんにへの施策の流れは上記のようになる。

鈴木さんには購入の都度お礼メールを送る。
2021年4、6、8、10、12月と2022年2月に鈴木さんにDMを送付。
2021年3、5、7、9、11月と2022年1月に鈴木さんのインスタにコメント。
2021年5月には鈴木さんの来店がなかったので1回目の電話。
2021年8月は鈴木さんに暑中見舞いの手紙を送る。

2021年3月は2回、4月は1回、6月は1回、7月は2回、8月は1回で
9月1日のランク付けまでには計7回の購入があり4点。
ランク付け4日前の8月28日に購入しているので5点。
購入金額は10万円以上で5点。合計スコアは
4点+5点+5点=14点で9月1日のランク付けでは鈴木さんはBランクになる。

2021年12月にはクリスマスプレゼントとして特典を贈る。
2022年1月にはまた鈴木さんの来店がなかったので2回目の電話。

2021年9月は2回、10月は1回、11月は1回、12月は1回、2022年2月1回で
2021年9月1日から2022年3月1日のランク付けまでには計6回の購入があり3点。
ランク付けの2週間より前の2月5日の購入で4点。
購入金額は10万円以上で5点。合計スコアは
3点+4点+5点=12点で2022年3月1日のランク付けでは鈴木さんはまたBランクになる。

鈴木さんは、AランクからBランクに下がり上がらないので鈴木さんにはさらに購入頻度を増やしてもらい、Aランクに留まり続けけられるような工夫をこの店は考えないといけない。

あと施策の流れをもうひとつ、またまた佐藤さんの例だが、購入が8ヶ月前で、購入したのも1回、8000円だけ、2021年3月1日のランク付けで3点のEランクの佐藤さんが、9月1日のランク付けの3日前の8月29日にいきなり合計9万5000円の購入があれば、
過去と今回の購入であわせて2回なので2点、
1週間以内の購入で5点、
過去の8000円と今回の9万5000円の購入で計10万3000円で5点
2点+5点+5点=合計スコア12点で2021年9月1日のランク付けではEランクから一気にBランクになる。

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佐藤さんへの施策の流れは次のようになる。

2021年9、11月と2022年1、3、5、7月に佐藤さんのインスタにコメント。
2021年10、12月、2022年2、4、6、8月に佐藤さんにDMを送付。
2021年10月に佐藤さんに1回目の電話

2021年8月29日から2022年3月1日のランク付けまでにはまったく購入がないため1点。
ランク付けの6ヶ月以上前から購入がないので1点。
購入金額は10万円以上で5点。合計スコアは
1点+1点+5点=7点で9月1日のランク付けでは佐藤さんはDランクになる。

2022年4月に2回目の電話
2022年7月には佐藤さんに暑中見舞いの手紙を送る。

2022年3月1日から2022年9月1日のランク付けまでにはまったく購入がないため1点。
ランク付けの6ヶ月以上前から購入がないので1点。
購入金額は10万円以上で5点。合計スコアは
1点+1点+5点=7点で2021年9月1日のランク付けでは佐藤さんはまたDランクになる。

佐藤さんには引き続きDMは2か月に1回送付し続け、インスタのコメントも2ヶ月に1回行うことしかしない。

上記もあくまでも一例なので他にも様々なやり方があるだろう。

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カード会社、保険会社、証券会社、高級料亭、高級ホテルなどでよく行われている。カード会社なら上級会員になっていればメールやプレゼントがよく届く。保険マンや証券マンは上客には営業の話もしないのにわざわざ会いに行き、高級料亭や高級ホテルは上客にはわざわざ営業ではない電話をかける。そして「最近はいかがですか。」「何かお困りなことはありませんか」などと上客の近況を聞いたりしてる。こんなことができるのはしっかり顧客をランク付けして、顧客のランクごとに行う施策をきちんとマニュアル化してOne to one marketingを行っているからである。「5A」のAware(認知)ばかりに力をいれているとコストもかかるし効果も薄くとても勝てない。それよりもOne to one marketingを実践しランク付けと施策を行えば、顧客との関係は強くなり顧客に自社のサービス・商品を広めてもらえる。それで自社のことを知った人がサービス・商品を買って、リピーターになり高いランクの顧客になれば、その顧客がまた自社の商品・サービスを広めてくれる。店舗であれば顧客が知人を連れてくれる。そしてその知人がリピーターになり高いランクの顧客になれば、また知人を連れてくる。こうして顧客がどんどん増えていく。PUBGのゲームのコミュニティーのように小さな雪玉のコミュニティーをころがせば雪だるまのように大きくなっていくのだ。先程出てきた寿司屋もそうで、上客との個人的な付き合いも大事して、その上客が知人を寿司屋に連れてきてもらい、客同士を結び付けたりすることを繰り返し、リピーターを増やしコミュニティーを大きくして繁盛しているのである。コロナ禍で客が来ないと困っている人がいるが、それは客に対して何もしていないからだ、何もしないのに客が来ないのは当たり前である。

新規客をとることは離れた固定客の穴埋めでしかない。新規の客などとらなくてもよい、固定客をとにかく大事にしてリピーターを増やさないといけない。これがビジネスでは重要で新規の客を100人とるよりも固定客をしっかり10人囲うビジネスの方が絶対に勝てる。その囲った10人が新規の客を連れてきてくれるからだ。
あとRFM分析のツールは有料・無料で様々なソフトやエクセルのファイルがあるので各自で調べてみて活用してほしい。

かつてのMUPは今「UR-U(ユアユニ)」というオンラインビジネススクールの一つの学部になっています。大炎上した竹花貴騎氏が主宰していますが、ビジネスに役立つ様々な学部があり、炎上を物ともせず発展を続けています。無料体験もありますので、ご興味があればのぞいて見てください。

公式HP:https://www.ur-uni.com/
公式IG:https://www.instagram.com/mup_college/
公式YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCrjIm2uu9IrR5gyst0tH6Ww

それではおまけです。

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この前の仕事の休憩中にカゴメの野菜ジュースを飲んでいたら、紙パックをうっかり強く握ってしまい、赤いジュースが白のワイシャツの胸のあたりに飛びつき、まるで殺人犯のようになってしまいました
∑(゚д゚;)(´;ω;`)

人に見られないように胸を両手で隠した情けない姿で恐る恐る
 |ω・`)コソ

会社のロッカーに戻り、替えのワイシャツに着替えて事なきを得ました
ε=(´∀`*)ホッ

こういう不測の事態にそなえて、替えのワイシャツを用意しておいてよかった、よかった
 ε=(´ー`*)

では相変わらず名前負けでドジな( ̄▽ ̄;) 「師子吼する」でした。
ありがとうございました。

2021年11月2日


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