速く走る方法は実は指導できる
ラダートレーニングで100m走を速くする!
運動が苦手な子どもほど、実は100m走のタイムを縮めるのは簡単なんです。
「どうするの?」と疑問に思うかもしれませんね。では、実際にあったエピソードを交えながら、その方法をご紹介します。
ある町の陸上イベント
私の町では、近隣の小学校6年生が集まり、町営グラウンドで陸上競技の記録会を行っています。種目は100m走、走り高跳び、走り幅跳び、800m走、ボール投げ。どの種目でも記録を伸ばす方法はありますが、今日は特に「100m走」を速くする方法についてお話しします。
速く走るにはどうすればいい?
100m走を速くするには、単純に考えて次の2つがポイントです:
足を動かす回転数を上げる
歩幅を広げる
たとえば、歩幅50cmで20歩進む場合、歩幅を5cm広げるだけで、5cm × 20歩 = 1mの差が生まれます。
つまり、2歩分速くなる計算です。これを子どもたちに説明すると、「なるほど!」と納得してくれます。そして、その理屈に合わせた練習をすれば、結果は必ずついてきます。
歩幅を広げるためには?
歩幅を広げるためには、まずフォームを変える必要があります。運動が苦手な子どもは、足を引きずるように走ってしまうことが多いんです。そこで以下の練習を取り入れます。
膝を高く上げながらジョギングする練習
→ すねが膝より前に出るイメージを伝える。かかとで円を描く感覚をつかむ
→ なんとなく走っている子どもたちが「足をどう動かしているのか」を意識するようになります。
さらに、腕の振り方も重要です。手と足を連動させることで、より効率の良いフォームが作られます。
ラダートレーニングの導入
次に、足を速く動かすためのトレーニングです。ここで登場するのが「ラダートレーニング」。
ラダーとは地面に置いたはしご状の道具で、その四角い枠の中に足を入れながら進む練習方法です。この練習は、速く足を動かすだけでなく、脳を使って「どう動かすか」を考えさせる効果があります。
練習例
一マスずつ速く進む基本の動き
二マス進んで一マス下がる動き
一マス進んで両側に足を広げ、再び中に入れて進む動き
これらを組み合わせることで、飽きさせずに練習を続けられます。
大事なのは「なんとなくやらせない」こと
ラダートレーニングで重要なのは、ただ動かすのではなく、「速く動かそう」と脳を働かせること。具体的には、練習中にリズムをつけてスピードを意識させます。
横で手を叩いてリズムを取り、終盤にはさらにスピードを上げるよう煽る。
これを繰り返すことで、脳が足を速く動かそうとする「意識的な働き」が育ちます。
ラダートレーニングを「流行っているから」と形だけ導入しても効果は薄いのです。意識的な取り組みが成果のカギになります。
ラダー導入の苦労と成果
私が初めてラダーを知ったのは、25年前のストレッチ研修でのことでした。講師の方がこう言ったのです。
「ラダーを使ったトレーニングというのがあります。小学校で使えば効果があると思います。」
この言葉にピンときました。
さっそく翌日にはロープとテープを使ってラダーを作りました。そして、練習で使おうと職員室に持って行ったところ、全員に大笑いされました。こんなもんで練習になるのかと・・・・。
私は信じていたので、運動場で子どもたちに伝えたのですが、子どもたちからも笑われました。みんな遊び気分で、真面目に取り組んでくれませんでした。
今とはまったくちがいますね。学校が変わり小規模校に行ったときは、受け入れてもらえました。変わった方法だと、子どもたちにも好評でした。実際、記録は伸びたのを覚えています。
最後に
現在では、中学や高校でもラダーが使われていますが、最初は理解されないことも多く、時間がかかるものでした。新しいことに取り組むには勇気がいりますが、「効果がある」と信じて続けることが大切です。
ラダートレーニングは、単なる速さだけでなく、「自分の体をどう動かすか」を考えるきっかけになります。それが運動の苦手な子どもたちにも、新しい自信を与える方法なのです!