シリーズ 特別支援を視野に入れた図画指導 その10回目
「正月早々、誰の目に触れることが無いブログを毎日投稿」
- 毎日続けることが「自分は頑張れる」という、私というものを支えになっている- 自己満足のためにできる限りつづけていく
小学校図工実践 その10
「マグロのセリ市場を描こう」
全員が成功体験をすることで、絵を描くことが好きになる。これにより、子どもたちは安定して活動に取り組むことができるようになる。
もし、着方法で子どもに違和感を覚えることがあれば、このような方法を試してみることも大事かもしれない。
色の認識に留意する
先天赤緑色覚異常を持つ児童にとって、色を作る作業は非常に難しい。パレット上に複数の色があると区別がつかないからだ。そこで、以下の工夫を行った。
パレットの色は一色にする
必要な色を一種類だけ作り、その色を塗る箇所すべてに使用させる。
塗り終わったらパレットをティッシュで拭き取り、新しい色を作ってから再び塗らせる。
この作業を繰り返すことで、濁った(補色を混色することでできる色)色を塗ることを防ぐ。
色が増えた場合の対応
画面上に色が増えてくると認識が難しくなるため、塗るべき場所を具体的に教える必要があった。
グラデーションの配慮
グラデーションの認識が難しい児童には、教師が直接手を加えたり、部分的に塗ったりした。
参観日には、この児童の保護者が絵の仕上がりに驚き、これまでの絵について感想を多く語ってくれた。
5時間目:着色の工夫
物の着色が終わった後は背景を塗る工程に進む。背景処理には変化をつけることで、テーマである主要な物を引き立たせる。
空の塗り方
空は、上部を青、下部を白くするグラデーションで表現する。
絵の具を徐々に水で薄めることで白さを作る。
万が一濃すぎた場合、白の絵の具で修正する。
てんてん塗りを使う場合も、徐々に水を加えて薄くすることで効果的なグラデーションを表現できる。
地面の塗り方
地面は筆を使わず、ティッシュを用いる。
グレーを作り、大量の水を加えて色水状態にする。
ティッシュに含ませ、画用紙に押し付けるように色をつける。
水の量が多すぎると感じるくらいがちょうど良い。
この方法でコンクリートの質感を表現できる。
氷の表現
氷はすべての着色作業が終わった後に塗る。
絵の具の白と青を原液のまま使い、指を用いてトントンと塗る。
小指で青をトントンと塗り、次に白を重ねていく。
絵の上で混ぜるように指を動かさないことが重要。
これにより、氷の光沢や質感を効果的に表現できる。
この方法は、特別支援を要する児童にも好評だった。指を使うことで効果が目で見てわかり、上達の実感が得られた。また、手に絵の具をつけることで絵に直接関わる感覚を楽しむことができた。
今回の実践でも、工夫を重ねることで、すべての児童が楽しく充実した図工の時間を過ごすことができた。
今回も制作過程の絵を紹介していく。