図画における作画方法 使用する道具
作画法あれこれについて考えてみた
サークル活動で図画について話をする機会をいただいたときにまとめてみた資料です。二十年以上前から、考えていることなのですが、この機会に紹介してみます。
小学校での図工は、作画の方法として、主に以下の4つがあげられます。それぞれの特性を説明していきます。これからの図工に参考していただけるなら幸いです。
1.クレパスで描く
おもに低学年で使用する方法です。
では、何色を使って描かせればいいのでしょうか?
線に使うクレパスは、黒・こげ茶・茶色があげられます。
色を選ぶ前に、それぞれの特性を述べます。
・線を黒で描く → シャープな感じを受け、メリハリがでます。
・線を茶色で描く → やわらかい印象をあたえます。
・線をこげ茶で描く→ 黒・茶の中間的な印象をあたえます。
こう書くとわかるように、どの色を選ぶかはケースバイケースとなります。強いて言うなら、絵にくっきりさせたい、やさしい印象がほしいなど、方向性を持っている場合は黒・茶を選ぶ。しかし、そうでない場合は、茶色かこげ茶で描かせるのが無難ではないでしょうか。
ちなみに、クレパスとクレヨンでは全く違う仕上がりになります。
2.鉛筆で描く
消しゴムを使うと、線が消えるため、描き直しが何度もできます。ゆえに、子どもたちはこの方法を好みます。気分的に、描きやすいという印象があるからでしょう。
教師側に、水彩画のようなふわっとしたやさしい絵を描かせたい・ポスターカラーなどの不透明水彩絵の具を使い、稜線を見せない工夫をしたいなど、意図が明確であれば、効果的な方法です。
ただし、何度も消しゴムを使うと、紙がぼろぼろになる・絵の具で塗ると線が見えにくくなるなど、不都合も多いです。中学年以下が鉛筆だけを使って描くと、あらい(荒い・粗い)印象の絵になりがちなので、どちらかというと、高学年向きでしょう。
また、シャープペンシルは芯が硬いため、紙がへこむ・線が単調になりやいなど、問題が多いので、絵を描くには向きません。使う鉛筆は、2B以上のやわらかいものにすべきでしょう。
3.鉛筆で描いてから油性ペンまたは顔料系の筆ペンでなぞる
最初に鉛筆を使うため、書き直しができます。その後、ペンでなぞるので、稜線をのこしつつ彩色もできます。
また、鉛筆で何度も描きなおし、稜線があやふやなところも、ペンで線の1本を決定できます。私は、下描きが早く終った子の調節のためにもこの方法を多くとっています。
この方法に慣れてくると、油性のペンでなぞるより、顔料系の筆ペンでゆっくりなぞることを進めます。線に面白い効果がで、よりいきいきとした印象の絵となります。
4.箸ペン絵の具で直接描く
顔料系のインクを箸ペンにつけ、画用紙に直接描くため、描き直しはできません。そのため、線にシャープさ・緊張感・不規則なおもしろさを出す事ができます。
使う筆として、割り箸を削ったものを使うのですが、これを作るのが大変だと面相筆を使う場合もあります。線の特徴を活かした工夫ができます。
かつては、この方法を好むベテラン教師が多く、うまくいけば、絵に迫力がでいました。ただし、あつかいにくいものなので、かなりの経験と慣れが必要です。
ちなみに、インクには染料系と顔料系のものがあり、染料系は水がかかると、にじんでしまいます。顔料系は、にじまないので、筆ペンを持たせる場合はしっかりと確認する事忘れないようにしてください。
また、箸ペンのことを言うなら、漫画家不二子A不二雄氏が、新聞記者時代に、似顔絵を朴訥とした表現にしようと、箸ペンを自分で工夫し使用したのは「マンガ道」で紹介されています。
図画について、こんなことをサークルで話すのは喜ばれるのですが、職場で話をするとなると面倒がられます。だから、このような知識は、今では失われつつあることです。
さて、明日は構図について書いていきます。