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特別支援を視野に入れた絵画指導 その6

小学校図工実践:その6

このnoteを始めてから連続投稿で年末を締めくくることができました。
学級通信のことでも書きましたが、報われなくても毎日続けることが大事だと子どもたちに伝えたい。
それを自分が実践してこそ説得力が増すと思うのです。
年齢的にもいつまで続くか分かりませんが、来年も出来る限り続けてみたいと思っています。
まず目標は3月31日の学校に勤めている時まで・・・

では、シリーズの続きを紹介していきます。

「マグロのセリ市場を描こう」

目的

全員が成功体験を通じて絵を描くことの楽しさを実感できるようにする。

その結果、子どもたちは絵を描く活動に自信を持ち、安定して取り組めるようになる。


準備物

教師が準備するもの

  • 四つ切り画用紙

  • ポスターカラー(白、大きなチューブ)

  • ティッシュ(4人に1箱程度)

児童が準備するもの

  • 油性ペン

  • 水彩用具


1時間目:描きたい物から描き始める

指導のポイント

通常、子どもたちは見学で印象深かったものを画用紙の中央に描き始めます。この中心部分が絵のメインテーマとなるため、指導の際には以下の点に注意してください。

NG指導例

「自由に描いていいよ」とだけ指示すること。

  • 理由
    個性を引き出すための自由さが、観念的でワンパターンな絵になりがちです。また、描きたいものが小さくまとまり、テーマが薄れてしまいます。



 何も言わずに子どもだけに任せると、一番描きたい物を小さく描いてしまい、自分が表現したいと考えているテーマ性が薄れてしまうことが多いです。すると、自分の絵に自信がもてなくなり満足できない作品となってしまうこともあります。

 ではどうするのか。

 描きだしは一部分を具体的に描き始め、それに合わせて放射状に描かせる。
輪郭から描くと、大きさが限定されてしまうばかりか、画一化された表現となってしまう。



具体的な描き始めの指導例

例1:マグロを描く場合

  1. 黒板で描き方を具体的に説明

    • 「まず、マグロの歯から描き始めよう。すごかったよね!大きさは指のツメくらいだね。」

      • 歯の具体的なサイズをイメージさせることで、全体のバランスが取りやすくなる。

    • 「次に口。唇があって、開くようになっていたね。」

      • 口元を細かく描くことでリアルな印象を持たせる。

  2. 順に細部を描き進める

    • 「鼻はとがっていて、すいすい泳げそうだったよね。」

    • 「目は丸くて黒目がほとんど、白目はちょっとだけ。」

    • 「エラは水が通る部分だったね。」

    • 「ヒレや背ビレ、尾ビレはどんな形だった?」

例2:トラックやフォークリフトを描く場合

  • 描き始めはタイヤから

    • 「タイヤを大きく描くことで、全体に迫力が出るよ。」

    • 「機械の細かい部分も描き込もうね。」


  • 描く順番の工夫

    • タイヤから描き始めると、トラックが地面にしっかりと置かれている様子を表現できます。

全体的に描くと、物を空中に浮いているような感じをあたえます。

例3:働く人を描く場合

  • 描き始めは手から

    • 「何をしているのかが伝わるように、手から描いてみよう!」

    • 「次に顔を描いて、それから体をつなげていこう。」


補助資料の活用

  • 市場で撮影した写真をパソコンで印刷し、子どもたちが参考にできるよう準備します。

  • 「この写真を見ながら描いてもいいよ」と声をかけると、子どもたちは自分が描きたいテーマに合った写真を選んで使えます。


描き始めたら褒める!

  • 重要ポイント
    描き始めた部分を見て、とにかく褒めましょう!

    • 初めは必ず丁寧に描くので、その丁寧さを評価することで、作業への肯定的なイメージが定着します。

    • 「この歯の描き方、すごく細かくていいね!」

    • 「タイヤの丸みがよく描けているよ!」


まとめ

具体的な指導と褒めることを通じて、子どもたちが絵を描くことの楽しさを実感できるようになります。この成功体験が、自信と創造性を引き出す鍵となります。

教師って、子どもを褒めていると、自分も嬉しくなってくることがあります。その気持ちが体からでてしまうのでしょうか、子どもたちも嬉しそうに描き進めます。

なんてことない授業の一コマですが、こんなことが安定した学級経営に大事になってくるのです。今だからいえます。若い先生に伝えていきたいですね。

最後に、子どもたちの絵の制作過程を紹介していきます。


マグロの印象的なところからぬっているようです。薄い絵の具を使うので、それが陰になっていい感じです。
マグロの顔が怖くていいですね。陰影をつけようと頑張っている様子がわかります。


描きながら、絵の中でお話が出来上がっているようで、会話が聞こえてきそうです。