
若い先生の悩み「体育って何をしたらいいのですか?」
「体育って何をしたらいいのですか?」
コロナ禍での話です。
小学校で初めて採用された先生。やる気はいっぱいですが、想像していたようにいかずに困っているようです。そんな中でのちょっとした話です。
「体育って何をしてあげればいいのですかね。子どもたちは楽しそうにはしているようなのですが、これでいいのか不安で。」
「少し見たとき、二人でおしあいっことか楽しそうにしていたのに。」
「はい。でも、くっいたらいけないと言われている中で、あんなことしていいものかと・・・」
「2年生なら、先生といっしょに何をしても楽しいもんだよ。でも、この子たちにどんな力をつけさせたいのかそれを考えてみるだけで、かわってくるよ。」
「例えば、今の子は転びやすいとか言われるように、体幹というか自分の体の使い方が経験不足でわからない子もいるよね。そこを鍛えたいと思ったら、アイディアがでるんだ。昔低学年をもったとき、先生の後についてきてと、そこの花壇の縁をバランストってあるいたり、鉄棒の中をジグザグに歩いたり、タイヤ跳びのタイヤの上をぴょんぴょんとんだり。そんなことでも、うれしそうにするし、バランスをとる経験を積ませることができるよね。」
「なるほど、ちょっとしたことでもいいのですね。」
「このコロナ禍なので、離れて運動しないといけないよね。ゲーム運動はできないので、個人競技になってしまう。ボールなら体育館に人数分あるので、それをつかっていろいろな運動ができる。私なら1時間なんてあっという間。」
「どんなことをするんですか。」
「例えば、ボールを上に投げて受ける。その行為も、バリエーションを増やせば、飽きずに何回もできる。両手でなげて両手でうける。両手で投げて片手でうける。片手で投げて片手でうける。それを両方。投げたときに手を1回叩く。2回叩く。上に投げないでワンバンドさせてうける。それだけで、2倍以上のバリエーションになるでしょ。同じ場所でなくて、1歩だけも前に進ませるとすると、それだけもその倍のバリエーション。ボールをまたに挟んで飛ぶ。足首に挟んでとぶ。手に持って飛ぶ。ボールの上に乗る。ボールを飛び越す。ほら、飛ぶを加えるだけも何種類にもなる。しかも子どもたちにとってはすべて違う運動をしていることになるんだ。これなら飽きることがないよね。」
「はー。聞くと簡単にできることばかりです。」
「そうでしょ。しかも、2年生がこれを一所懸命していると、かわいくて、見ていておもしろいから、もう少し変わった動きをさせてやろうとどんどん変化させていく。そうなると、一番楽しんでいるのは先生で、わくわくしてくる。その雰囲気は子どもたちにも伝わるので、体育が楽しいとどんな子も思うようになってくる。」
「そうですね。楽しまないと続かないですね。」
「そう、学校の先生っておもしろいよ。楽しまないと。」
「はい、少し調べて、いろいろやってみます。」
「いつでも手伝うから、どんなことでもいいから、困ったら言ってね。」
「ありがとうございます。」
先生の醍醐味をしっかりと味わってほしいですね。
こんな会話をすらっとできたら、私は楽しいのです。でも、今は、忙しいのでまわりくどい説明なんていらないって先生が増えたような気がします。
丁寧に話せば話すほど、難儀なじじいだと思われるので、その加減が上手にできないと、意図を伝えることができません。
こうやって、教育でのロストテクノロジーができていくのだと思いました。