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観た映画の話/ずっと独身でいるつもり?

田中みな実主演、松村沙友理出演、おかざき真里原作、この3点から気になっていた映画、アマプラ配信されたので飛びついて観ました。
個人的にはとてもとても良かったので感想というか考えたこととかを。
ネタバレあるかもです。

あらすじ(公式サイトより)

10年前に執筆したエッセイから一躍有名作家となった本田まみ(田中みな実)、36歳、独身。自立した女性の幸せの価値を赤裸々に綴り、読者の支持を得たが、それに次ぐヒット作を書けずにいる。仕事にやりがいを感じながらも目下迷走中のまみは、自身の年齢に対して事あるごとに周囲から「ずっと独身でいるつもり?」と心配されている。一方、まみが出演する配信番組をきっかけに交錯する女性たち―まみの書いたエッセイを支えに自立した生き方を貫く由紀乃(市川実和子)、"なんちゃってイクメン"の夫への小さな不満を抱えながらインスタ主婦を続ける彩佳(徳永えり)、パパ活女子として生計をたてつつも、若さを失うことに怯える美穂(松村沙友理)。それぞれの異なる生きづらさを抱える4人が踏み出した小さな一歩とは?
https://zuddoku-movie.com/

公式サイトのあらすじでは「それぞれの生きづらさ」という表現だけど、
後半でまみが発した「怒り」という表現の方がしっくりくる。
社会への、自分への怒り。

私はよく異なる価値観や多様性について考えることがあるけれど、却ってそうした価値観のアップデートをテーマとする作品は避けてしまっていた。
多様性を謳っているのに、作者の思う「正しいアップデート・多様性のありかた」を強要されるようで、
矛盾を感じ居心地悪く、鑑賞後や読後にもやもやしてしまうのだ。

この作品を飲み込めたのは、終幕のそれぞれの描写が決して「誰が見てもハッピーエンド」ではなかったからだと思う。
4人の主要キャラクターはあくまで一歩踏み出したにすぎなくて、
だけど4人とも一歩踏み出す前の自分より今の自分が好きだろうな、と思わせるような描写。
終幕にまみが由紀乃に放った「私は幸せです」という言葉。微笑み。

選んだ道が正しいかどうかの基準は、自分で決める。自分の幸せは自分で決める。
言葉にするとありふれているけど、強い説得力があった。

主人公のまみは当て書きかと思うほど田中みな実以外に考えられないような役でしたね…
田中みな実が田中みな実として役にハマりすぎていて、現実とフィクションを曖昧にするようなリアリティがあった。

松村さんは、なんというか、ああいう役がほんっとうに似合いますよね…という気持ち。
女の子の闇、なんて表現されがちな部分。
「フィクションを演じる人」を演じるのが上手いと言い換えると、アイドル現役時代のプロっぷりとも繋がる部分がありそう。

鑑賞中はムカついたり悔しかったり、なシーンが多い気がしたけど、
観終わったあとは却ってすっきりするというか、
爽快感というよりは澄んだ気持ちになれる映画でした。

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