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ケガ・手術をしたキズアトが盛り上がってしまい、悩んでいる方って多いのでは??

悩んでいる方の中で、周りから『ケロイド体質かもよ…?』と指摘され、ギョッとした方もいると思います。

ケロイドは、医師でも診断を間違えてしまう難しい病気。治療は、根気の必要な、専門的な知識と経験を要します。

このコラムでは、ケロイドにまつわる話を書き出してみます。

最後まで読んでくださると嬉しいです。


<目次>
・ケロイドとの遭遇
・どんなキズも、硬く盛り上がる性質を持っている
・コレってケロイド??
・最後に


⚫︎ ケロイドとの遭遇

僕が形成外科医として働き出して数ヶ月。
ケロイドとの出会いは、すぐにやって来ました。

1年以上通っている、肩に10*3cmのケロイドで悩む、40代女性でした。
「今日もケナコルト注射お願いします。毎回、めっちゃ痛いんですよね〜 」

内心、「切って縫った方が早いんじゃないのかな??」と悩みました。しかし、準備されたケナコルト(ステロイド)を注射している自分がいました。
その後、「間違っても切ってはダメ。どんどん広がってしまうからね」と先輩から教わったのでした。


⚫︎どんなキズも、硬く盛り上がる性質を持っている

研修の間、ケガしたキズを縫合する・皮膚を切開したら縫合する日々を送りました。患者さんの経過を診ていく中で、”皮膚にダメージを加えれば、代償として硬く盛り上がる” ということを学びました。

やや専門的で分かりにくいですよね。皮膚へのダメージは、戦争をイメージすると分かりやすいです。

ある地域を徹底攻撃して破壊すると、全焼して、ゴミが無数に蓄積されます。場所によっては、燃え残ったり、煙が出続けたりするでしょう。

“燃え残ったり、煙が出続けたりする”は、医療用語で “炎症が続いている”と表現します。
この持続炎症が、盛り上がったキズアト(肥厚性瘢痕)・ケロイドの源となってしまいます。

つまり、皮膚にダメージが加わると、必ず炎症が生じます。ダメージの加わった部位は、炎症後変化が起き、硬くなったり赤くなったり変化します。

形成外科医として勤務を続けていると、ケロイドと肥厚性瘢痕の違いに困惑するようになるのでした。


⚫︎コレってケロイド??

やがて、こんな質問を受けるようになりました。 「先生、私、ケロイド体質なんです。この前、切って縫ったキズアトが盛り上がってるんです。どうしたらいいですか??」

術後1ヶ月の状態。キズアトは赤く盛り上がっており、チクチクするような痒み・痛みを訴えあり。なんか怪しいけど、まだ判断できないな〜という感じでした。

しかし、経過観察はじめて3ヶ月。キズアトの痒み・痛みは改善。元の範囲を越え、周りの正常皮膚に伸展していくことも無く、ケロイドを否定できたのでした。


●最後に

実は、ケロイドと肥厚性瘢痕を区別する明確な診断基準は存在しません。つまり、キズアトが盛り上がっていても、単純にケロイドと診断してはダメということです。
もし判断に迷うことがあれは、長い目で観察することを強くオススメします。

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