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人と動物の違いは「他人の痛みを自分の痛みのように感じる」ことにある 谷川俊太郎
人と動物の違いは「他人の痛みを自分の痛みのように感じる」ことにある 谷川俊太郎
ひろゆき「ジャニーズ問題と中居氏の問題を混同するのは間違いです」当事者の年齢、補償…相違点を整理 中日スポーツ
西村さんは「ジャニーズ問題と中居氏の問題を混同するのは間違いです」とまず指摘。「ジャニーズ問題は未成年が性犯罪かもわからずに被害に遭い、示談もされず、被害は補償されずに加害者が逃げ切った問題です」とした一方、「中居氏の問題は当事者は示談で解決し、被害も補償されました。当事者は成年なので判断能力も十分にあります」とつづった。
<引用終了>
ひろゆき氏の言う「混同するのは間違い」の意味がはっきりしませんが、文脈上は「両件は保障の件などで同じではない」と私には受け取れます。
引用はしませんが以下のタイトルだけでもご覧いただきたいと思います。
(最新判例)最高裁初判断、PTSDも傷害罪 « リバティス京都法律事務所 (libertice.jp)
旧ジャニーズ問題一部被害者も中居氏の「トラブル」も被害者はPTSDを発症しています。2012年に傷害罪を適用された加害者には懲役12年の実刑が課せられています。中居氏の代理人弁護士もご存知のはずです。
そして私が中居氏やひろゆき氏に申し上げたいのは冒頭の谷川氏の言葉です。被害者は「魂の殺人」という生涯完治する可能性の低い人生を強いられれるのです。一生です。その間様々なフラッシュバックにさいなまされ続けるのです。
それでも保障が済んでいることで「他人の痛み」を全く感じないのでしょうか。
以下は過去のnoteです。ゴシックの部分だけでもご高覧頂ける幸いです。
旧ジャニーズ事務所の「心のケア」をPTSDになり自殺した方の言葉から考え|中村むねひら (note.com)
https://note.com/munehira_naka/n/n005924671d24
PTSDになり自殺した方の言葉から。
「人を助けたかっただけだ」「戦争にはもう絶対行きたくない。一生頭にこびりついて離れないようなひどいことを見たし、自分でもうやった。」「自分は人殺しだ。」
精神の障害には特性があります。それは、障害であると共に病気でもあるということです。
実際に私は、精神障害1級(PTSD 心的外傷後ストレス障害)の一生涯の障害者でありながら、通院と服薬、及び週3回の訪問看護は欠かせませんし、ストレスによる発熱にさいなまされる毎日です。
本noteは、ジャニーズ事務所性加害問題被害者の「心のケア」がいかに難しいか、トラウマの「心のケア」はできないと言っても過言ではないということについて説明します。
まずは以下の記事をお読みください。
たった1年?紀藤正樹弁護士も疑問、ジャニーズ性加害問題「心のケア相談室」は1年限定…担当医師も「簡単なことではないのに…」と見解 (msn.com)
10月29日中日スポーツより
紀藤弁護士が添付した報道によると、5月末に設置された相談室を監修する元環境相で心療内科医の鴨下一郎さんが、事務所側から相談室の開設期間は1年間と伝えられたと明かし、「とても1年で区切れるような簡単なことではない」と見解を示した。さらに自身は直接面談せずに報告を受ける立場だとした上で「被害者の中には重大なトラウマ(心的外傷)になっている人もいる。本当に深刻だ」と話したという。
紀藤弁護士は「ジャニー氏の写真を見るだけでフラッシュバックする被害者がいる中で非常に真っ当な医師のコメントだと感じる」と感想をつづった
<引用終了>
トラウマとは、通常のストレス解消方法(適度の飲酒や運動、カラオケなどなど)では、どうにもならない重大なショックが身に降りかかってきた後に、脳に残る「後遺症」と言えます。
そのトラウマが、PTSD(Post-traumatic stress disorder)となり、さまざまな形で個人の生活に深刻な影響を及ぼすのです。
2015年3月1日のTBS番組「サンデーモーニング」において、論説者の故岸井成格氏は、「PTSD問題は21世紀最大の問題である」と明言されていたほどです。
「IPT 対人関係療法でなおす、トラウマ、PTSD」 水島広子 創元社より
(自分では対処できない)出来事の恐ろしさは、「こんなに恐ろしいことが起こるなんて、何という世界だろう」と「世界への信頼感を」損ないます。
自分にはコントロールできなかったことは、「対処できなかった自分」を責めて、「自分への信頼感」を失うことにもつながりますし、コントロール不能なことが起こるという意味では、「世界への信頼感」を損ねます。
<引用終了>
一言にすると「人間不信」です。人間が「世界」をつくっているのですから。
このような記事や著書も。
朝日新聞 2020年12月28日 戦後75年特集 編集委員・伊藤智章
戦車か火炎放射器で、山全体が焼き尽くされた戦場。焼け焦げた遺体がいくつも見える。兵隊も民間人も区別はない。その脇を必死で歩いているのは、6歳の自分だ。頭に砲弾の破片が当たった。痛みで目の玉が飛び出そうだった。猛烈な吐き気がした。母に手を引かれ、やっと前へ進んだ……
<引用終了>
『冬の兵士 ― イラク・アフガン帰還米兵が語る戦場の真実』より
2008年6月初め、故ロス・A・マクギニス合衆国陸軍特技兵にブッシュ大統領から青銅勲章が贈られた。普通の市民には考えられないような彼の行為に対してである。マクギニスは敵が車に投げ込んだ手榴弾に飛びついただ。爆発の全エネルギーをその身に受け止め、彼は一瞬に死んだ、4人の仲間の兵士を救って。
帰還後自殺した青年が両親に残したメモから。
「こんな人間になってしまって、本当に恥ずかしい。幸せで、自信を持って、人生を楽しんでいた子供のころの僕のことだけを覚えていてほしい。」
彼は、「人を助けたかっただけだ」「戦争にはもう絶対行きたくない。一生頭にこびりついて離れないようなひどいことを見たし、自分でもうやった。」「自分は人殺しだ。」と語っていた。
<引用終了>
PTSDは、普通の人を「絶望」に落とし込む。そしてその「絶望」は死に至る「病」となる、それがPTSDの危険性なのです。トラウマの「心のケア」は難しい、できないと言っても過言ではないと理解していただけたら幸いです。
ジャニーズ事務所性加害問題の被害者も、戦争被害者、加害者と同じように苦しんでいるのです。
私も一人のトラウマ経験者として、声を大にして被害者の苦しみを代弁していきたいと思っています。
そして、殺し合いは止めろ、日本を戦争ができる国にするな、と。