抗精神薬の副作用の体験インタビュー〜「助けて」って言えない〜
躁鬱病と診断されたものを抱えて15年以上生活しているげんきさん。先日から薬をエビリファイからコントミンへ変更したことで、つらい副作用に苦しんでいました。その体験を突撃インタビューしちゃいました😃
インタビュアーはわたしムネと よしおさんです
ムネもよしおも精神科の病院で看護師をして、その後、それぞれ別の訪問看護ステーションで働いています
◯出ようとしているのに出られない・・・・
げ「コントミンを飲んで一番感じたのは、押しつぶされている感がすごかったんですよ。なんかこう外に出ないっていうか。なんかこう胸にあるものが普段はでたり入ったりして、ひとと交換したりして、こう回している。。出たり入ったりしているところが、カチッとこう鍵をかけられたみたいに牢屋に入れられてしまって、出ようとしているのに出られないし、入ってくるものの受け止められないしって言う感じで、、。
げ「こう内側から出てくる、生まれてくるものはけっこうどんどん出てきちゃうんで、それをギュッとおさえてくれるのがたぶん薬だと思うんですけど、、、グーっとおさえてくれるんでパンっパンになっちゃって。それでもう、もう、、、!!それはもう~~~!なんかそれこそことばが見つからない、、、しんどさでしたよね。パンパンっって感じでしたよね。身体中、、。」
よ「出てくるんだけど、抑えられる、、ほんとはくすりっていうのはどんな感じなんですか?げんきさんにとってはどこがなくなったらいいんですか?」
げ「そうですね、そこをちょっと削ってくれる。半分くらいは削ってくれる感じに、。いまセロクエルに変えてもらったんですけど、セロクエルはけっこう風通しがいい感じで、こうカチッと縛られなくて、でも感じたり、思ったりしたことに関しては半分くらいカットしてくれる。いらないよって捨ててくれる感じ」
げ「つまってくると、くるしいとか、助けてとかっていう感じ。なんとかしてとか、そういう言葉になるんだと思うんですけど、たぶん」
ム「コントミンに変えて気持ちが出ていかないって、身体が動かないけど、心はわさわさしているって前にいっていましたけど、それはどんな感じか聞きたいなと思いました」
げ「とにかく、こう、、ミシミシして、パンパンに張っている感じ。重いし、足も痛いし膝も痛い。とにかく寝ていた気がします。ご飯もあんまり、、ごはん食べていると涙がでてくるんです。
げ「ご飯を食べているっていうことは生きていくことなんだ」って思って。「生きていかないといけないのかー!」って思って泣けてきたり、それでご飯が食べられなくなって寝ていました。
げ「コントミンの感じはとにかく感情が押さえ込まれるかんじ。首根っこ掴まれてジャボって。水のなかにいれば上には出てこない。でもいるんですよ。みたいな」
◯その時はいえなかった・・「生き地獄」
よ「それって今だから言えることなんですか。ここがこうなっているからたすけてくれ、つらいっていうふうにはならないんですか?」
げ「そのときはたぶんいえなかったですね。連休明けですぐに診察入れてもらったんですけど、問診票に「生き地獄」って書いたのを覚えているんですよ。あはは。でも出てくるものが押しつぶされてとか、そういう言葉ではなかったです。いちばんそれがしんどい時の、そのコントミンっていう人に作用してもらってたときのいちばんフレッシュな言葉だと思います」
げ「そのときに表現するっていうのは、難しい、、、と思います」
よ「先生たちも看護師たちも、今までの経験でそういう風に聞いたことってあるのかなあって思って、それ聞くのってたぶん重要なことで、、。今後、他の患者さんでもたとえば「生き地獄だ」っていったひとがいたとして、そういうことが起きているんだっていう風に見られますよね。なかなかそういう風に聞かないですよ」
◯カットしてあげないと疲れちゃう・・自分を断念されている
ム「セロクエルで気持ちが半分くらいにカットされるっていってましたけど、それはどうなんですか?ほんとはもっと感じていることがあるのかなあ・・」
げ「なんか、身体って疲れちゃうんですよ。カットしてあげないと疲れちゃう。もたないっていうか、生きながらえないじゃないですけど、明日明後日生きていかなきゃいけないところに、ものすごい全部を感じとるアンテナがいっぱい立って全部を受け止めて理解しようとする姿勢で生きていると・・・たぶん明日はやってこないっていうか・・・
ム「もたない、、、諦めるのを認めるっていうことってよく出来たなあって思いました・・」
げ「あきらめきれなくて・・・・何度も再発しました。真剣に向き合っているとどこまでも波に乗って、知らないうちに目の前に崖しかないっていうことを何回か体験して。自分のことだから、自分で考えたこと全部キャッチして全部向き合っていきたいって姿勢でやっていました。それを何度もやってなんか自分で限界を切るようになったのは、わたしの場合は親にすごく世話になったっていうか申し訳ないって気持ちが残っている。あとはやっと仕事につけた、仕事を失いたくない」
げ「それがなんか自分を断念させている。本来向き合っていきたいタイプなんですけど。でもやっておきたいことがあるからみたいな。なんか地上にひっぱってくれるものがあるのでそれがいろんな自分の希望を断念させている」
◯コロナによる周囲の環境変化の影響
よ「いままでエビリファイを飲んでたみたいですけど、エビリファイからコントミンに変えたのってなんでなんですか?」
げ「あのなんか、とにかくすごい腹が立つ、あと、泣けて泣けて仕方がないっていうのが同時に起こって。
よ「いままで大丈夫だったのが、でも急にそうなったんですか?」
げ「そうです。でもちょっと環境の変化もあって。コロナで仕事がちょっとこの先どうしようかなみたいな、上のひとがそういう雰囲気になって。今まで坦々といつも同じことを繰り返しやっているようなお仕事なんですけど、それがみんなが「どうしよどうしよ!」みたいな雰囲気になったのが、わたしも「どうしよ!」ってなっちゃって。それから実際に勤務も形が変わって間引きになったり、休暇になったりして、その変化に自分がついていけなかったのかもしれないと思うんですけど・・・」
よ「なるほど。それわかる。ぼくもひとりでいると不安定になって。ぼくアルコール依存あるからお酒やめているんですけど、最近やっぱりやばいなっていう・・。ちらつくっていうか・・・。その環境の変化、コロナはでかい。ぼくの訪問看護の事業所で利用者さんのキャンセルとかも続いてて、、ここが潰れたら代表のひとがかわいそうだなって思っちゃったんです。それでなんとかしないとなって自分のなかで危機感がぶわーって出ちゃって。考えたらそのくらいから不安定になってた。ぼくも淡々とやっていたものがいきなり崩れ始めてたから、うーん大きいなって・・・。
◯「つらい」言うことをわかってほしかったけど、言おうと思わなかった。
ム「しんどそうでしたものね。げんきさんからメッセンジャーで連絡くるってよっぽどキツかったんだろうなって思ってました」
げ「なんどもメッセンジャーのあの扉を開いて、消して、開いて、消してやって、ははは」
よ「それは何をもとめていたんですか?」
げ「聞いてほしかったんですよね。そう、しんどいってことを聞いてほしかったんです。ムネさんに言えばきっと「大変ですね」っていってくれると思って
よ「ぼく聞いてておもたのですけど、なんか解決策をもとめているわけではないってことなのかなあ」
げ「そうですね、でもメッセージはわたしコントミンってどういう薬なのか教えてくださいって聞いたんですよね。ちょっと意見が聞きたくてメッセージしますって、なんかはっきりしたようなことを言っていて」
ム「その文面だけみると、そういう解答を求めているのかなって思えるようなところもある、、だけど・・・・。
よ「こういう話がきけるとなんか今度ぼくもそう人と関わるなかで、メッセージがそこだけじゃないっていうのがわかってくるっていうか。それはコンタクトをとるための言葉でもある・・・。」
ム「ぼくも思います。実際げんきさんはすでに薬のこととか副作用のこととかすでに知っていましたよね」
げ「そうなんですよ。主治医と薬剤師とネットでも聞いて、20年コントミンを飲んでいる統合失調症のひとにも聞いているんです。その上で「ムネさんこんにちは。ちょっと意見を・・・」って聞いていたんです。
◯「助けてほしい」っていうところに触れないでほしいと思っていた
げ「たぶん、ちょっと意見が聞きたくてメッセージします」って言っているところでたぶんちょっとかっこつけているんですよね。たぶんなんかこう「自分は助けてほしいなんて思ってないぜみたいなところを出したがってりうみたいな。それが「助けてほしい」てところに触れないでほしいってちょっと思ってた、みたいな。
よ「不思議なんですよ。ぼくもありました。察知されたくないから普通なんだよみたいな。でもこれどう?みたいな。困っているんだけど、困っているってカッコ悪いなみたいな。それを察知されちゃうと「そういうことじゃないよ」みたいなだから難しい。これ自分の体験でもありますからね。助けてほしいのに言えない。逆に近いひとだと責めちゃうこともあって
◯支援者の教育に・・・「すごく惨めな気持ちになりました」
げ「なんか、助けてくれーってクリニックのナースとかスタッフにいうと、「何がどうしんどいの?具体的に言ってごらん?って言われて、かちーんってきちゃう笑笑。そこからもう教育が始まっているんですよ。立派な社会人として育てたい感じなんですかね。なのでヘルプの出し方、診察の受け方、薬のコントロール、病気のコントロール、ストレスの対処法、すごい勉強することがたくさんあるんです。しなきゃいけないことがたくさんあって。
ム「なんか病院でも訪問でも、自立できるようにって本人の力を奪わないようにて指導者が手を出しすぎないとか、スキルを身につけてもらうためにっていうのかあるんですけど、実際どう思うのかなって思って・・」
げ「なんかすごく惨めな気持ちになりました」
よ「ヘルプの出し方って言われても、そもそも、、、ていう感じじゃないですか。出せないっていうか出したくないっていうか、その部分はどうするんだよって。その部分はすっぱ抜いて出し方って言われても、、。出したところでそれがほんとかどうかもわからない感じになってくるし・・・。
ム「ヘルプを出すこと自体も難しい。だれが受けるかによっても出し方も変わってくると思うし。ヘルプの出し方をスキルをそれを出す方だけに求めるのってなんだろうなって・・。なんだろうそれって社会的なものなんですかね。言う人に責任がありますみたいな・・・。
げ「なんだかすごく上下関係。支援者が上で、私たち当事者は叱咤激励を受けながら成長していく」
よ「その叱咤っていうのは、なんだかなあ・・って思っちゃうんですよね」
げ「なんだかなあって思う勇気もなかったですよわたしは。デイケア行っていた時は自分がすごく非力だって感じてた」
ム「自分が非力だって感じるってことは、支援者って言われる人はそれだけ立派に見えるみたいなところはあったんですか」
げ「ありますよ。先生みたいな感じ。教え導く人みたいな感じ。ははは」
◯自分の感覚を潰すと自分がほんとにダメになっていく・・・
げ「自分が間違っていて、支援者の言うことが正しいっていうのがどうも入りやすい形式っていうかなんていうか・・。
よ「いやーなんか自分もなんかずっと先輩が正しいって思っていて、自分の感覚を捨ててきたんですよね。ぼくの感覚がおかしいんだ、先輩が言っていることが正しいんだなってきたひとだから。ずーっとそれできて苦しめられていたんですよね。でもぼくが病院の看護師4年目のときにムネさんが入ってきて、話していてようやく最近自分の感覚でやっていいんだなって。今まではそんな思えなかった」
よ「自分の感覚を潰すと自分はほんとにダメになっていくんですよね。どんどん。。。。あれはやめたほうがいいんじゃないかなって思って。自分のなかにある感覚をもっと大事にしたほうが・・と思うんですけどね」
◯仕事や環境も薬もみたいなもの。自分のなかで生きている可愛らしいものが押さえ込まれていく
げ「なんかちょっと話はずれるかもしれないですけど、ちょっと3週間くらい休暇になっていて、そのあいだ会社にいかずにいて、自分にしかもっていない感覚っていうのがすごいこう戻ってきた、ポコポコって戻ってきた感じがして。でも会社にいくと段々と潰れていくんですよねそれが。で土日になったら戻るかっていうとあんまり戻らなくて、会社に所属しているとなんかこう、自分しかもっていないなかで生きている可愛らしいものがどうも元気がなくなっていくんですよ。それは仕方ないのかなとも思うんですけど・・・」
ム「その表現だけ聞いていると、薬で自分の感覚があるんだけど表面にでてこないっていっていたげんきさんの表現とダブって聞こえました。仕事や環境っていう薬が自分のなかに湧き上がってくる思いに蓋をしてそれが出てこなくて溜まっていってしまうイメージが。自分でもそういう経験ありました。そういう職場とか環境とかにいて、なんだかわからないけど涙が出てきてしまうとか。溢れ出して漏れ出してしまう。環境変えて、仲間もできて、それで重みが少し軽くなって、そういうのを思いだしました。場所とか環境も薬みたいなもの、表現を借りると、そう思いだしました」
◯手綱を離さざるおえないときの虚しさ〜それ以上しんどくならないために
げ「手綱を離さざるを得ない虚しさっていうのが、今回すごい経験したんですけど、いつもその自分を手綱を握ってちゃんと馬を、馬が居心地がいいようにそして自分も居心地いいようにしてなんかこう身体とか気持ちとか頭とか、そういうものとバランスをとりながらやっているんですけど、で、その手綱がもーーーーっつむりですー!落馬・・・。しんどいけどそうするしかなかったですね。それ以上しんどくならないように手綱を離すしかなくて」
げ「で、もういいや、ゼロから始めようってそのことをクリニックのナース「今回はダメでした。ちょっと離しました」って話したら、「ダメそこお!ギュッとやって!」って言われました。はははそうですねって言っておきました」言われても後の祭りですけどね」
ム「いやーいっぱいお話聞かせてもらってありがとうございました。そろそろひといきつきますかね」
と、ここら辺でインタビューおひらき、でございました(^_^)
光をを感じ佇むげんきさん^o^
今回、とても貴重なお話を聞かせて頂き、本当にありがとうございました!!
薬の副作用の体験はそれだけでなく、ほかの体験ともつながっているような気がしました。
すぐには助けてなんて、言えない、わかってもらいたくない、でもわかってほしい、同時にある気持ちを少しづつ折り返して重ねていく、そんなことを思いました。
すぐにこたえをださないって言葉にする以上に難しい。でも、考えて感じて行きたいと思いました
あらためて人の話しを聞くのは興味深い!!
はじめての試みでしたが、また引き続きインタビュー企画やっていきたいと思います!マンモスよろしくお願いします
ムネと
よしお
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