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【10日目】『怒り』のメカニズム(カンジョウのトリセツ)

◆カンジョウの正体は『ココロの命令』だ

 前回まで『一番目』のモトあつめを「する人・される人」のお話をしてきました。ざっと復習しますね。

 モトが減ると、好き嫌いゲージが下がります。好き嫌いゲージが下がると、ココロが「ネガティブな感情」を出してきます。なぜ出してくるかというと、ココロが「モトが減ってるぞ、増やしなさい」という命令をするから、なんでしたね。感情というのは、ココロが出す「モトあつめの命令」なんでした。
 そういう「ネガティブな感情」に身を任せていると、ついつい『一番目』のモトあつめをしがちになります。なぜなら、カンタンだからです。

 人生がツラい、というときは、こういった「ネガティブな感情」ばかりがココロに起こり、ポジティブな気持ちになりづらいときですよね。ここから先はいよいよ、こういった「ネガティブな感情」の【メカニズム】と【対処法】に迫っていきたいと思います。

◆『怒り』を呼び起こす信念とは

 さて、「ネガティブな感情」も様々ですが、最もやっかいなものの一つに

『怒り』

があります。まずはこの「怒り」について取り上げます。

 入門編で出した例を思い出してほしいのですが、道で知らない人とすれ違うときに、肩がドン! とぶつかってしまった……相手は気づいていないのか、無言で立ち去ろうとしている……こういうとき「イラッ」とする人は多いと思います。これも「怒り」の一種です。人によってはカンカンに怒って、つい相手に怒鳴ったりつかみかかったりするかもしれません。(逆に相手を心配をしてしまう、という人もいますが、今回は「怒ってしまう人」を例に考えていきますね。)

 このとき、好き嫌いゲージが「グイッ」と下がっているんでしたね。なぜ下がるかというと、相手に注目をするからでした。どうして注目するのかというと、それはABC理論でいうと

A=道で知らない人にぶつかった
B=( ? ? )
C=怒った

の「B(信念)」の部分が、次のように判断しているからです。

『攻撃されている!!』

 攻撃、というとちょっと大げさに感じてしまうかもしれませんが、実際に「未知の存在にカラダを攻撃されている」という判断を「アタマ」が行っているから、その考えがココロに送られ、攻撃してくる相手に注目することで好き嫌いゲージが下がるわけです。だからあながち的外れというわけでもないと思います。

◆全ての『怒り』は【防衛反応】だ

 この仕組みをよく見てほしいんですが……攻撃を受けている、という発想になるということは、つまりこういうことが言えます。

『怒り』とは【防衛反応】である

 実際に、怒っている人というのは必ず「なにか守るもの」を持っています。それが「攻撃によって損なわれた!」というアタマの判断によって、ココロが『怒り』という感情を出すメカニズムになっているんです。

 だからです、すべての『怒り』はココロの【防衛反応】なんです。ココロ自身は、モトを減らしてくる何かからココロ自身を守ろうとしていますし、アタマは「自分の大切な何かが攻撃されている、守らなきゃ!」という発想で、起こってきた『怒り』を処理します。

 何を守ろうとしているか? は、本当に人それぞれです。自分自身のカラダである場合、自分の持ち物である場合、自分にとって大切な人である場合、自分の立場やお金・資産である場合、そして、自分自身のプライドである場合、などなど……。ただ、それが何であれ「守ろう」としている場合の感情が『怒り』だ、というわけです。

 ですので、「怒っている人」は必ず「なにか守ろうとしているもの」を持っています。これは実は……あなた自身が怒っている場合も、同じなんです

◆その『怒り』は「何を守ろうとしているのか」

 『怒り』というのはコントロールするのが難しい感情の一つですので、後で冷静になってからその時を振り返ってみると「どうしてあんなに怒ってしまったんだろう……?」と自分でも不思議になることって、誰でも経験があると思うんです。

 そんなときに考えてほしいのは「自分が守ろうとしていたものは何か?」ということなんですね。怒っている人というのは、必ず「何かを守ろう」としています。例外はありません。ですから、あなたも必ず「何かを守る」ために怒っていたはずなんです。

 その怒りが「何を守るため」のものだったのか、をきちんと自分で分析して、そしてその怒りが正当なものだったのかを考えておくと、次に同じことが起こったときに対処しやすくなるものです。場合によっては「あんなに怒ることでもなかったんじゃないかなぁ?」と反省して、次からは上手に『怒り』の感情を自分で「いなせる」ようになるかもしれませんね。

 ですが……怒っている真っ最中というのは、そんなに冷静にアタマを働かせることができないものですよね。特に「怒りが怒りを呼ぶ」ような状態になっているとき、その『怒り』はアタマではなかなかコントロールできないものだと思います。

◆『怒り』のメカニズムと好き嫌いゲージ

 モトや好き嫌いゲージの観点から、これがどういうメカニズムで起こるのかというと……

 まず最初の段階で、好き嫌いゲージが「嫌い」の方に「グイッ」と減っています。これが『怒り』の感情を呼び起こして、そしてその気持ちがアタマに送られ、カラダが怒りを表現します(入門編参照)。
 ……このあと、その結果として「周囲の状況が改善していない(攻撃が続いている)」とアタマが判断した場合(これは自動的に「信念」が処理します)、状況に注目した分だけさらにモトが減って、好き嫌いゲージが再び「クイッ」と下がります。そしてまた、ココロが『怒り』の感情を出すのです。
 このプロセスが繰り返されるにつれ、何度も何度も「カーッとくる」瞬間が訪れ『怒りが怒りを呼ぶ状態』になるわけです。

 こんなときでもやっぱり僕たちは「何かを守ろう」としているのです。ですから「この『怒り』の気持ちをなんとかしなきゃ!」とアタマが考えているなら、その『怒り』で「自分が何を守ろうとしているのか?」ということを考えると、『怒り』がコントロールしやすくなるのではないかと僕は考えています。

 最後に、大事なことなのでもう一度繰り返しますが

すべての『怒り』は【防衛反応】である

このことをよく覚えておいて下さい。

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日南本倶生(みゅんひはうぜん)
「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)