【Bar黒月の2つ目のテーマ~アーティストの働き方~】

『音楽と大切な居場所を次の世界へ繋ぎたい』

ライブハウスが、居酒屋が、人とのふれあいが悪とされてしまった2020年。リアルなエンタメを守りたい思いでオープンした私達が掲げているメインテーマである。

実はBar黒月には、2つ目の大きなテーマがある。
これは昔から絶対に実現したかったこと。


私がライブハウスや路上で歌い始めたのは、14歳の頃。一般的にみて少し早かったかもしれない。出会う音楽仲間はもちろんみんな年上。

お兄さんお姉さん達は、私に危なくない路上のエリアを教えてくれたり、14歳が知らないような音楽、コードや発声方法、色んなことを教えてくれて、時には変なおじさんから守ってくれたりした。

家庭や学校でうまくいっていなかった私にとって、紛れもなく居場所だったし、本当にかわいがってくれた。そして先輩たちの音楽を心から尊敬し、愛していた。

その頃スクールなどに通ったわけではなく、音楽は路上の先輩たちから教えてもらった。


そんな先輩たちは、仕事をしながら音楽活動をしていた。

音楽だけで食べていける人は一握りだし、今食べていけている方々も、生計を立てるために働きながら音楽をやっていた過去がある人がほとんどなんじゃないかと思う。

先輩たちは、深夜の飲食店、パチンコ屋さん、土方、中には風俗や出会い系のサクラをしている人もいた。

みんな生活のため、音楽をやるため。と言っていた。

音楽を自由にやるためにはそこまでしなければならないのか……と14歳ながら衝撃をうけた。

もちろん、その時代でもそうじゃない人たちもたくさんいたと思う。でも少なからず私の周りは違った。

これ、本当にどうにもならないことなのかな。

という思いを抱きながら、私も音楽活動を続けた。やっぱり、それだけで食べていくのはものすごく厳しくて。実際にやりたくない仕事に手を出してしまったこともある。

そんな中、ゴールデン街で働いている時間は比較的ストレスや迷いがなかった。

一般的にも知られている通り、ゴールデン街ではアーティストがたくさん働いている。スタッフの出演するライブや舞台のフライヤーが壁一面に張り巡らされている。

アーティストであることを隠さず、むしろアピールし、なんならアーティストそのものとして働いている人が多かった。

お客さんも、バーに飲みに来るだけではなく、みんなでチケットを買ってステージを観に来てくれたり。そんな働き方が成立していた。

そう。この要素を、必ずBar黒月にも入れたかった。

私が自らアーティスト活動をしながら運営し、お店で表現をし続けていることで、働いてくれているみんなにとってもそのような場所であることが出来るのかなと思っている。

そしてBar黒月には、ライブバーというにはかなり大きめのステージがある。
広い壁にはポスターや写真が飾れる。
音響やカラオケがある。

ここで表現ができる。そしてお給料ももらえる。

正直、私の力が足りてない部分も多く、そしてコロナ禍いつまで続くねん…という誤算もあって、現時点でみんなが満足いくほどシフトを入れてあげられなかったり。
あとは本当はもっともっとたくさんのアーティストさんに働いてほしいし、店舗展開や海外展開もしたいという夢もあるのだけど…まだまだだね私。

バイトしながらのアーティスト活動って、めちゃめちゃ大変じゃん。一人暮らしとかだったらなおさら。

それはみんなたぶんわかってて、夜の仕事しながらアーティスト活動やってる人のこととか、アイドルのセカンドキャリアとか、問題提起するじゃん。ツイッターとかで。

なんで問題提起してくれてんのになんも動かないんだよ。

リスクは背負わずにアドバイスだけ?

確かに私が言ってることややってることは理想論かもしれない。

でも問題提起ばっかしてその問題に対して何も動いてない奴らよりはマシ。

それなら私が、私達がやってやるよ。つくってやるよ。

言っとくけど私、アーティストの夢を諦めてセカンドキャリアとして店出したわけじゃないから。

アーティストとして店出してっから。

アーティストとしてのキャリア、その後のキャリアって区切らなくてもちゃんと繋げられるから。

みんなにとってより良い場所を作りたいという気持ちでやってっから。

そこんとこよろしく。


ムンヒジュ

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