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昨夜は怪異を楽しみました



 よかった。今日は朝日がある。昨日は今日より雨雲が分厚かったのか、朝から外がどんよりしていて光を浴びることが叶わなかった。リビングに出ると、職探し中で悶々としている母もカーテンを閉じきり「今日は暗いから」としょんぼりしていた。

 昨日は低気圧が酷く、前日に出かけた反動もあり1日眠り続けていた。夕方起きて、ご飯を食べて、ごちゃごちゃの机の上を見て気分が重たくなりまた寝床へ戻る。
 その後はYouTubeで「奇天烈相談ダイヤル」というホラーゲームの実況動画を見続けた。面白いぞ!「こちら、奇天烈相談ダイヤルです」と80年代のナレーションボイスが入る。ホラーゲームといってもおどろおどろしい空気は無く、可愛らしいドット絵の画面が続き、扱う話題が「怪異」であるだけで、質の悪い驚かしは無い。

 「奇天烈相談ダイヤル」という言葉が面白くて何度も口にして笑う。日本に現在存在する怪奇現象のデーターベースを携えて、電話を掛けてくる相談者の話を「怪異」か「怪異でない」かを仕分けるゲーム。面白い。なんと無料でプレイできるらしいが、私は複雑なゲームは眺めているだけの方が好きなのでゲーム実況動画で楽しむこととする。

 あらゆる怪異が流れ作業で出てくるなか、時折怪異への対処法まで紹介されているパターンがある。そこで一定数あったのが「無視」するという対処法だ。たとえば、夜の闇にまぎれて姿を隠し、人に「足いりませんか?」と訊ねる怪異。こいつへの対処法は「何も答えずにその場を立ち去る」なのだ。いるともいらないとも言ってはいけない、むんと口を閉じて強い意志で去る。
 この話を母にすると、母は「たしかに無視は大事よね」と珍しく話題に乗って来た。曰く、母は昔金縛りになったことがあるらしい。いくら踏ん張っても身体が動かず、声も出せない。段々腹が立ってきた母は「付き合ってられるか」とそのまま寝ると決めた。すると、腹をくくったとたん身体のこわばりが解けたというのだ。怪異に付き合わない、生きる人間は忙しいのよ。


 妖怪の話が好きだ。だから怪異のなかでも「トイレの花子さん」や「こっくりさん」が好き。ちなみに母はこっくりさんも経験があるらしい。少女時代、当たり前のように友達とやっていたそうだ。私は中学生の時、友達を誘ってみた物の完全に無視されて実現しなかった。あれ?私が怪異扱いされている?
 実際に人の死が関わったりする怪異はあまり好きではない。本当に怖いし、デリケートな部分に立ち入ってしまうようで気が引ける。考えすぎる質なもので、ホラーを楽しむのも一苦労だ。

 今日はここまで。外へ出よう。

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