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ひねくれ革靴⑦【リーガル1】2235&廃番の訳&イヤーモデル紹介

前回までで一番書きたかったことは終わったのですが、もう少し革靴について書きたいので不定期で続きます! 気長にお付き合い頂ければ幸いです。


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1.リーガル2235

前回、感動の最終話にてマスターリーガルを激押ししたところですが、改めてリーガルの紹介をしたいと思います。まずはお馴染み、公式YouTubeです。公式YouTubeなのですが、、、

公式のはずが、だいぶ無秩序です。コンセプトが見えづらいというか、あるのだろうかというか。再正解数も公式とは思えない回数というか。

ブランディングをしようという気概が空回りしている気がします。どうして革靴業界のメディア戦略は、どこもこんなにふらっふらなのだと文句を言いたくなります。

いっそバーウィックみたいに積極的にコラボして、色んな人に取り上げてもらうほうがいいのではないかと思います。いやむしろリーガルはほっといてもみんなに取り上げてもらえるからというのに甘えて、自社からの情報発信には力を入れていないという話なのでしょうか。それでしたらマスターリーガルを熱く勧める私は思うツボです……

ということで今回のリーガル回は、公式YouTubeをディスるというスタートです。感動の最終回だったはず(?)が晩節を汚します。


一口にリーガルと言っても色々な切り口があると思うので、私は ディスり芸、、、ではなく 「2235」というウィングチップのモデルの話をしたいと思います。

「リーガルといえば、マスターリーガルなんて最近のぽっと出のやつじゃなくて、サドルとかウィングチップだろぉおおお!!」という往年のリーガルファンに忖度して「2235」を取り上げる、、、という戦略ではありません。

だって、サドルもウィングチップも、マスターリーガルにあるんです。すごくないですか、マスターリーガル。オンもオフもマスターリーガルで大丈夫です。最高です、マスターリーガル。わざわざ忖度して2235を取り上げなくてもいいのです。

あえて「2235」を取り上げるのは、別の理由があるのです。

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2.靴が廃番になる訳・モデルチェンジの理由

「2235」。こちらは1972年に販売が始まったモデルで、50年以上売られている不朽の名作です。

50年廃番になっていないって、現役で売れ続けているってすごくないですか??

しかし、似たような靴で廃番になっているのはあるのです。具体的には、801Rと、W105というものがあります。

※801Rと、W105は公式のサイト等が無く、「ヨイモノローグ」様の記事を紹介させていただきます。

リーガルの似た系統のウィングチップを価格順に並べると、
2585<2589<2235<801R<W105
となります。※2235だけでなく、2585と2589も現行品です。

やー、どうしてこんなに分かりづらいんだろうかと思います。ロードバイクの105かよ、と思いますね。 まじ分かりづらいです。バージョン1とか2とかにしてくれればいーのにと思います。

そしてここで気になるのが「どうして2235は50年残っているのに、801RとW105は残らないの??」という件です。「どれもほぼ一緒じゃん!」という話です。

さてさて、冷静に分析・推測していきたいと思います。

靴に限らずではあると思うのですが、廃番になる理由は主に以下の2つだと思います。

①デザインが古くて売れない
すべてのアパレル、というか製品に共通の宿命かと思うのですが、流行り廃りに合わせてばんばん入れ替えをしていかないといけません。保管の場所とか売り場の場所とかもあるし、新陳代謝していかないといけないのです。プロダクトライフサイクルというやつなのです。

しかしそんなデザインの消費スピードの早い現代で、時代の流れに飲み込まれることなく、そのままの姿で売れ続けることができると、定番になって名品になるわけです。

②材料(革)が入手困難に
ほとんど同じデザインの、少なくとも素人目には違いのわからない、2235が50年売れていて、801rとw105が廃番になるのです。理由はデザインではありません。2235と、801r・w105の違いは何か? それは、、、一番は「革質」です。(詳しくは上述の「ヨイモノローグ」様のブログを見て頂ければと思いますが)801rとw105の方が、革が良かったのです。そしてお値段が違ったのです。

素材が良いから、値段が上がる。それはとても自然な、消費者的に納得できる話ですが、残念ながら高い革靴は売れなかったのでしょう。。。そして、カニバリしてるから統合されたのでしょう。。。

※カニバリ:「カニバリゼーション(cannibalization)」の略で、「共食い」という意味。自社の製品やサービス同士で、売り上げを奪い合ってしまう状態のこと。

というか、一番歴史が古いのは「2235」なのです。「2235」が売れていたから、バリエーションを増やしてみただけの話かと思います。そして思ったほどは売れなくて、やはり残ったのが原点にして頂点、「2235」だったのではないかと推測されます。


しかし話を戻しますが、「2235」は普遍的なデザインで50年愛される名品、、、

、、、え、ほんとに??

ちょっとシラフに戻って考えてみてほしいんですが、このデザイン、みなさん本当に好きですか??

私の2235?の写真です。
詳細は後述します。

いや、むしろ若い人は嫌いでは?? 率直に、若い人はそんなに好きじゃないんじゃないかなと思います。

もちろんフルブローグやウィングチップには英国靴から始まる歴史があって伝統があって、ポッと出の変なデザインじゃないことは重々承知していますが、これ一個単体で見た時にはどうにもこうにもおじさんが好きそうなデザインです。

あれ、、、でも私個人は、、、このデザイン、、、けっこう好きです。(どっちやねん、、、) 昔はこういうごちゃっと、ごてっとしたデザインが苦手だったのですが、今はすごく渋いと思います。

と、ということは、みんなおじさんになっていくということなのでは??

おじさん無限ループ説です。誰もが歳をとって、同じ話をするつまんないおじさんになり、「ゆとり世代がー」「Z世代がー」って最近の若いもんはーってみんなが言う。みんなみんなおじさんになる説です。

おじさんが代替わりして「2235」を愛してるだけなのではないか説です。

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3.リーガルはリセールが安い。。。嬉しいことに? 悲しいことに?

しかしそんな不朽の名作「2235」は、リセールが安いです。フリマサイトで5千円、6千円くらいで買えます。元がそこまで高くないから仕方ないかもしれませんが超安いです。

嬉しいんですが、元々インペリアルグレードという高価格帯を謳う商品が、そんなに安くなっちゃうのはどうなんだろうかと思います。

「2235」に限らずリーガルってかなりリセールが安いです。こんなに安いと新品が買われないという可能性が高いんじゃないか、、、と思います。実際、他にもそういういことを訴えておられる方のブログがあるのでご紹介です。以下は、「Freek2Freek」様のブログです。

(あれ、今回、よそ様のブログの紹介ばっかりしてる。。。書くことなくなってるのに、無理やり話数を引き伸ばしてる?? 晩節を汚してる。。。 違うのです、素晴らしいブログだから紹介したいだけなのです、参考文献なのです)

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4.イヤーモデルも安い

ちょっと脱線ですが、リーガルのイヤーモデルについてです。第4話でも書きましたが革靴で言うイヤーモデルとは、その年にしか販売しない限定品です。

つまり、さぞお高いのでしょう?? と思うのですが、リーガルはイヤーモデルも正直、そこまで高くありません。そんなに多くないので順番に紹介したいと思います。

①2016年
・コンセプトは不明
・300足限定販売
・39,960円(税込)
黒のウィングチップに白の靴紐というデザインです。良く見ないと分かりづらいのですが、甲の部分は2種類の革が使われていて、型押し(ブツブツ)の部分とスムース(サラサラ)の部分があります。

②2017年
・コンセプトは「ワイルド&エレガント」
・260足限定販売
・49,680円(税込)
またしてもウィングチップに型押し(ブツブツ)の部分とスムース(サラサラ)。え、二回目にしてネタ切れっすか。。。

写真はカッコいいけど、
リアルで見たらどうなんだろう。。。

③2018年
・コンセプトは「The Pride to share」
・270足限定販売
・49,680円(税込)
デザインは、とてもシンプル というか普通な ブラウンのセミブローグです。サブタイトルが、「神は細部に宿る」らしいのですが、あれ、細部過ぎて伝わらないような……シンプル過ぎないですか、これ? なぜこれをイヤーモデルでやったのですか??

というか、コンセプトの意味ってなんでしょう。共有する誇り?? share a prideなら「誇りを分かち合う」だと思うのですが。誰と共有する? 誇りとは何を指す?? 禅問答みたいな靴ですね……

とてもシンプル
スーパーベーシック
写真が、かっこいい、、、え、かっこいい、、、

④2019年
・コンセプトは「永く履けることの価値」
・460足限定販売
・50,760円(税込)
戻ってきて、またしてもウィングチップ。そして謎の「外掬いグッドイヤーウエルト式製法」! レーザー加工のソール! 無難に足し算してみようとしてたらいつの間にか割り算してた、みたいな印象があります……

このステッチを見ると、
パラブーツを思い出すのは私だけではないはず
削れちゃうんですよ、ソールって……
も、勿体ない……

⑤2020年
・コンセプトは「ビジネスシューズとスポーツの融合」
・400足限定販売
・46,200円(税込)
アッパーの革の染色にとても気合いを入れているとのことで、すごく良い青色なんだろうけども、残念ながら写真ではあまり伝わってきません。そしてなぜかネイビーのプレーントゥーで、「ビジネスシューズとスポーツの融合」です。なぜか白のゴム底なのです……この辺から迷走をすごく感じます。

この青はカッコいいです
この白は絶対汚れて、ひどいことになります……

⑥2021年
・コンセプトは「ファッション&カルチャー」。
・360足限定販売
・48,400円(税込)
ごっついゴム底で、ごっついバックルがガチガチです。これは、ファッションなの? カルチャーなの? いったい何からインスパイアされてしまったの? もしかして彼氏が変わると服とか髪型変わるタイプ?


ソールがごついです、まじごっつぁんです。
シャークソールが流行っていた時期でしたっけ。


そして2022年からイヤーモデルは廃止されます……

イヤーモデルって全部売り切れたら、利益出るようにつくっているんじゃないのかぁああ。

客からしても正月に毎年売られる靴なんて縁起物というか、ご祝儀みたいなもんなんじゃないのかぁぁあ。

やめたってことは、儲からないってことじゃろおお。イヤーモデル売れ残ってたんじゃろおおお。

てか何もかもが中途半端なんじゃぁああ。安易にソールで遊ばないでぇぇえ。もっと高額でいいからもっと色々尖らせてぇぇぇえ。

まあ、コロナでテレワークになって、革靴消費が落ち込んだとか、きっと色々事情があるのでしょう。。。

そして、2023年からはマスターリーガルのリミテッドエディションが始まります。イヤーモデルはマスターリーガルとして作られるようになるのです。やっぱりこの迷走感を打破する希望の星がマスターリーガルなのです。

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すみません、リーガル回は1話で終わらず、次回に続きます


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