見出し画像

ひねくれ新潟⑤越後妻有里山現代美術館 MonET「自己責任論」~まったく関係無いが『東京喰種トーキョーグール』が好きな人に刺さるはず!?

唐突ですが、私は『東京喰種トーキョーグール』(東京グール)という漫画が好きです。
主人公の金木研が、非情な世界に翻弄されながら、それでも今日を生きる道を探すダークファンタジーです。1番好きな漫画かもしれません。もちろんストーリーが好きなのですが、絵とキャラクターも好きすぎて企画展に行ったことがあるぐらい好きです。

そんな私が越後妻有里山現代美術館 MonETに行ったところ、めっちゃここ「東京グール」っぽくね?? って思いました。まあ聞いてください。

※目次のタイトルは東京グールのセリフです。

※途中に出てくる東京グールの画像は、2021年に開催していた「石田スイ展 [東京喰種▶︎JACKJEANNE] in 池袋」のときの写真です。


1.「何も出来ないのは、もう嫌なんだ」

さて越後妻有里山現代美術館 MonETに着くと早速、繭っぽいものが飛び込んできました。

「ヌーメン/フォー・ユース(NUMEN / FOR USE)」という芸術家グループの、『Tape Echigo-Tsumari』という作品です。

(とてもカッコいいのですが、企画展「モネ船長と87日間の四角い冒険」の作品のひとつで、現在は見られないみたいです。)

たしかにテープっぽいです。
というか、ラップみたいです?
こんなでかいの、
落ちちゃわないかと心配になるのですが、
けっこうがっちり固定されているのでたぶん大丈夫です。
近くで見てみると、、、
人影が……!
なんと中に入れます(有料)
繭の中で手を伸ばす少年、、、

すごく東京グールっぽくないですか??

脳みそが東京グールモードなので唐突に東京グールの話をしたいと思います。

東京グールの魅力の一つは、キャラクターが魅力的で、なおかつそのキャラクターの結びつきがとても繊細に描かれているところです。

この人はこの人に対してこういう感情を抱いている、ということが読んでいるうちにどんどん伝わってくるんです。

微妙な距離感や、根底にある信頼関係とかって言葉で説明しようとすると難しいと思うんですが、キャラクターの表情やしぐさでそれを伝えるんです。もうここだけでも良い漫画です。

(なんか新潟回ではなく、漫画回になりつつあります。。。漫画に興味ない方は写真だけざーっと見てください。。。)

繭というより蜘蛛のイメージかもです。
美術館に巣を張るのです。
あと、物語終盤で出てくる卵みたいなのありました
加藤みいささんの「溢れる」という作品です。

*****

2.「生きるというのは他者を喰らうこと」

こちらは渡辺泰幸さんと渡辺さよさんの『回る音』という作品です。てるてる坊主みたいな風鈴で、風になびいて音がします。日に照らされて、伸びる影もおしゃれで、とてもさわやかなのですが、、、

小さい子はこれを触りまくります。しゃんしゃん音が出まくります。もちろん触れてOKなもので、触ってみてほしいという作品だと思うのですが、めちゃめちゃ音が鳴ります。これも含めて作品なんだろうなと思うぐらい、ちょっと笑っちゃうくらい子どもたちの音が鳴ります。

しかし脳みそが東京グールモードになっている私はこれを見て、東京グールを思い出します。。「白鳩(はと)」という警察みたいなキャラクターをすごく思い出します。みんな白いコートを着ているんですよ。リアルでいたら変だと思うんですが、なんかかっこいいんですよね、細マッチョの着る白いコート。

と思ったら、屋内にもっと「白鳩(はと)」っぽい展示がありました。。!

ターニャ・バダニナさんの『白い服 未来の思い出』という作品です。この「白い服」の作品は、亡き娘に捧げるために始まったプロジェクトで、世界各地で開催されているとのことでした。

ひとつひとつの服が和風な感じで、模様も色々で、とてもおしゃれではあるのですが、十字架みたいに並べられたたくさんの白が追悼をイメージしているのが伝わります。

そしてやっぱり私は、東京グールを思い出してしまいます。

*****

3.「1000引く7は……?」

続いて打って変わって、急にわからないのが出てきました。デカくてちょっとグロめな猫ちゃんが登場しました。でも現代アートのよくわからなさも、東京グールの赫子(かぐね)みたい!? とか思えば楽しめます。

サ・ブンティ(查雯婷)さんの『神獣の猫龍』という作品です。中国では猫は不吉の象徴で、龍は幸運の象徴で、それを合体させたらしいです。頭がネコで体がドラゴンになったのには理由があるみたいです。。。(むずかしいです)

屋内にも、これまた赫子(かぐね)みたいな現代アートがありました。というかこの美術館、結構難しい作品多いです。現代アートってそういうものですかね。。。(私の見る目が養われていないだけ……)

初期キャラの赫子(かぐね)のシンプルなデザインも
バトル漫画っぽくて良いですが、
後半のキャラの、細かいデザインの方が好きです。
これ、何だと思いますか??
私は羽赫かなと思いました。
そうではない
じつは時計でした。
小さいのが、、、
束になって、、、
襲ってくるんじゃないかとちょっとビビります。

*****

5.「かっこ悪くても生きろ」

むずかしい、、、わからない、、、
そんな感想も抱きますが、分からないけど何となく良いな、と思う作品があります。
むしろ、頭で考えずに良いなと思ったら、それこそ本当に自分のアンテナに引っかかったというか。心に刺さったということで、それこそ大事なことなんじゃないかと思ったりします。

私の場合は、東京グールが好きでそれに似ているから好き、というだけのアンテナかもしれません、、

「知られざるカバコフ 生きのびるためのアート」展が開催されていました。イリヤ・カバコフさんは1933年年に旧ソ連・現ウクライナで生まれ、1945年にモスクワに移住します。そして文化統制下のモスクワで絵本の挿絵画家として生計を立てながら、自身の作品をつくりました。大地の芸術祭との関わりが深く、過去開催時にも多くの作品を新潟・妻有に残しています。

なんだかわからないけれど、良いなと思います。良いなと思う理由もちゃんと言葉にできないし、そこに込められた作者の気持ちの百分の一も理解できていないだろうけれど、でもなんとなく素敵だと思います。

中谷ミチコさんの『遠方の声』

*****

7.「この世のすべての不利益は当人の能力不足」

急に話が変わりますが、ついこのあいだ、2025年1月31日にこんなニュースを見ました。

修学旅行中の中学生が、越後妻有里山現代美術館MonETで芸術作品を壊してしまい、その賠償金674万円を、新潟市が全額負担する、というものです。

この記事に対して、
ーー壊した子どもと保護者に責任を取らせるべき
ーー税金で賠償するなんて有り得ない
とコメントをしている人がネット上には多くいました。

「警察の捜査で故意に壊したとは立証されなかった」と記載があるのにも関わらず、です。

「故意に壊したとは立証されなかった」ということはつまり、「事故」だったという結論です。

・子どもが不注意
・保護者が不注意
・引率の教員が不注意
・展示方法が不注意
・監視員が不注意
ぜんぶひっくるめて、不幸な事故だったということなんです。

故意ではない・不幸な偶然が重なっただけ、なのだから責任は誰かにあるという話ではなく、市が賠償金を持ちます。という話だと思うのです。

にもかかわらず、責任は子どもにある、責任を取らせるべきだ、という主張をする人がいます。

故意であれば「罪には罰を!」と言いたくなるのもわかりますが、警察が故意じゃないって言うんだからもうそこは論点ではないのです。事故だと分かった上で、それでもなおも生徒に責任がある、という主張なのです。。


個人的にその主張はあんまり、やさしくないと思います。


そして東京グールがマイブームな私は、「この世のすべての不利益は当人の能力不足」、というセリフをふと思い出しました。

これは東京グールの主人公・金木研が、いろんな場面で心の拠り所にする言葉です。つらい時にすがりつきたくなる言葉が、こんなにも冷たい言葉だなんてとても孤独で哀しいと感じました。でもそうやって強くあろうとし続ける主人公をとてもカッコいいとも思いました。

だから私は、「自己責任論」そのものに異議を唱えるつもりはありません。

自分に対して、そうストイックに思い続けることは大切だと思うんです。
だれも助けてくれなくても、一人でなんとか踏ん張らないといけないときはあります。

でも、だれも自分を助けてくれないとしても、自分が困っている誰かを助けない理由にはならないはずです。「自己責任論」は他人に押し付けるものじゃなく、自分を戒めるためのものだと思うんです。

だからどうしても、たとえ「責任の所在をあるべき場所へ」という主張がどれだけ正しいものだとしても、その正論はやさしくないと思ってしまいます。


「この世のすべての不利益は当人の能力不足」

東京グールでたぶん、一番有名なセリフです。

でも、全然好きなセリフではありません。

こんなことが書きたくて、今回は東京グールの話です。

*****

8.おまけ・へぎそば

おまけに腹ごしらえのお話です。東京グールの亜門鋼太朗というキャラクターが食べていたのはうどんだった気もしますが、十日町なので蕎麦です! ご当地グルメ「へぎそば」です!! 越後妻有里山現代美術館 MonET近くの、有名な「小嶋屋 総本店」というところに伺いました。

「へぎそば」は、布海苔(ふのり)をつなぎとして加えることで、強いコシと独特の風味が生まれます。もともと布海苔は織物に使っていて、手に入りやすかったのだそうです。

「へぎ」と呼ばれる木の器に一口大ニ盛り付けられるから「へぎそば」というらしいです。「へぎ」は「剥ぐ=はぐ=へぐ」のなまりで、木を剥いだ板のことだそうです。

日本酒と漬け物でそばを待ちます。
つゆがきました。
そばがきました。
おいしいです。
野菜天ぷらも頼みました。
野菜天ぷらといいつつ、舞茸とかキノコもあって豪華です。
とても美味しかったです。

*****

9.終わりに

みんなに『東京喰種トーキョーグール』を読んでほしい!! というブログになりました。(??)

まあ新潟回は長いので、たまにはこんな回があってもいいじゃないですか。(それにしては長かったような??)

お付き合いいただきありがとうございます!


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集