飯森 範親×若き巨匠の新世界
【過去のコンサートより】
日時 : 2023年10月29日(日)14時
場所 : ザ・シンフォニーホール(大阪)
指揮:飯森 範親
ヴァイオリン:郷古 廉
チェロ:佐藤 晴真
管弦楽 : 日本センチュリー交響楽団
【演目】
・ドヴォルザーク作曲「謝肉祭」序曲 op.92
・ブラームス作曲 ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 イ短調 op.102
・ドヴォルザーク作曲 交響曲 第9番 ホ短調 op.95「新世界より」
クラシックのコンサートで聞いたことのない曲が出てくると、どんな曲なんだろうと掘り出し物でも探すような期待感から、緊張感もテンションも上がるが、周知の曲だと、ああ、あれかと今まで聞いた印象と比較しながら楽に楽しめる。今日のコンサートは名曲ばかりで、どんな曲かと言うことよりも指揮者出演者が作品をどう料理してくれるのかと期待しながら、会場に向かった。
指揮者の飯森さんは棒さばきが滑らかで、わかりやすく的確な指揮ぶりだった。ポイントだけに指示をする指揮者も少なからずいる中で、飯森さんはすべて振っていて、とても情熱的だった。オーケストラとの一体感があった。メリハリもよく効いていて、幅広いテンポの変化やダイナミックレンジは会場で聴く音楽ならでは、と感じた。
それだけに音楽をタメるところが多くあって、オケが対応するのがたいへんそうだった。特に新世界交響曲の第2楽章の2回の全休止、最終楽章の最後の伸ばし音は長く、聴衆の心をグッと掴むようだった。聴衆もそれに応え、静寂の後の湧き上がる大きな拍手がそれを示していた。
ヴァイオリンの郷古さん、佐藤さん共に力感溢れるソリストぶりで、圧倒的な音量と技術力だった。特に郷古さんは彼の方からオーケストラに合わせる余裕を見せていた。佐藤さんはもう珍しくなくなった、タブレットで譜面を見ていた。
日本センチュリー交響楽団は、基本的にどのパートも安定した音色と技術で、安心して聴くことができた。他の関西オケよりもカドが取れた感じだった。
特に金管、打楽器は若々しく、特に新世界交響曲第3楽章までは割れるような音に違和感のある部分もあったが、第4楽章では大活躍し、迫力のあるサウンドだった。
2階後ろの席だったが、『ザ・シンフォニーホール』はオーケストラサウンドが素晴らしく、オルガン側の座席によっては音がこだまのように聞こえるところもあるのが、どの客席からの視界も広く、音楽を贅沢に楽しめるホールだと改めて思った。