「考えた人すごいわ」ってなんの店?
書籍:「考えた人すごいわ」を考えたすごい人
著者:岸本拓也
評価:★★★★☆
高級生食パンといえば「乃が美」というお店が有名だが、その「乃が美」のヒットを受けてか続々と同じようなコンセプトの高級食パン屋さんがオープンしている。
そんな中で一風変わったネーミングの食パン屋さんがあるのだが、「なんだ!?この変な名前のパン屋は?」と思ったらだいたいはこの本の著者である岸本氏が手掛けたお店だと思っておいて間違いはない。
大阪にも、「わたし入籍します」や「この街ありがとう」といった、一見パン屋さんとは思えないネーミングのお店がそれにあたる。
変わった店名、ド派手なお店の外観、目立つ紙袋などいろんな仕掛けがあって見るだけで楽しそうなお店なのだが、肝心の食パンの味はまさに一級品だ。
そんな岸本氏がどんな考えや方法で食パン屋さんを展開しているのか、その詳細がこの本に詰まっているわけだ。
当たり前といえば当たり前の話だが、こうしたお店の展開の裏には揺るがない信念と緻密なデータから分析するといった高いマーケティング技術が取り込まれている。
また、自由な発想をするためには好き嫌いせずいろんなものを見て、触れて、体験しなければならないという岸本氏の考え方が浸透した会社のあり方は現在の働き方改革という点においても参考になる要素が盛り込まれていた。
本書では、岸本氏の思考回路の説明に始まり、マーケティング→ブランディング→プロモーションという流れで、高級生食パンのお店がどのように企画され、開店し、そして継続した売上を達成させるのかといった内容が盛り込まれているので、同業だけでなく他業種においても参考になる情報が満載だ。
随所に現れる岸本ワールドは、決して凡人には真似はできないが考え方を取り入れることは誰にでもできるので今後の自分の幅を広げていきたいと思った。