なぜ星付きシェフの僕がサイゼリアでバイトするのか?
著者の村山太一さんはミシュランの星を獲得し続けているレストランラッセのオーナーである。
そんな一見、誰もが成功者として羨む彼がなぜサイゼリアでバイトを始めたのか?
ラッセは誰もが認める名店ではあったが、労働環境という観点から見たときには必ずしも良いお店だったわけではなく、むしろブラック企業と化していた。
村山さんは料理人になった時点から師匠の技を必死に真似て体得し、ここまでのし上がってきた人なので、体育会系の就業状態にそれほど疑問を感じてなかったそうなのだが、ふとこの状態は誰にとっても幸せでないのではという感覚にとらわれるようになる。
そんなときにサイゼリアに関する書籍を読み、客単価はラッセの数分の一にもかかわらず利益率で大きく負けているサイゼリアの業務効率の仕組みがどうなっているのか体験してみようと思い立つ。
普通はここでプライドが邪魔をするはずなのだが、村山さんの場合は全然違っていて、ラッセの休みを利用してアルバイトを始めてしまうのだ。
ミシュランの星を取り続けるレストランのオーナーシェフである村山さんがアルバイトとしてやってくるわけだから、雇う側も一緒に働くバイトスタッフも当初はやりにくいところがあったのではないかと思うが、それは置いておいて村山さんはサイゼリアの仕組み化された店舗運営をどんどん吸収してラッセの運営に反映できるところはどんどん変えていった。
そうすることで社員の働く時間は短くなりつつも、経営は順調をキープするといういい状態に持ってこれたのだ。
村山さんはとにかくいいと思ったことはどんどんコピーして自分のものにしてしまう天才で、さらに青天井の行動力が結果に結びつけてしまう。
こうした成功者の話を聞くと、やっぱり大量のインプットを行いつつも常にアウトプットし続ける行動力が明暗を分けるポイントなんだろうなと改めて感じた。
この本にはその極意とも呼べる情報が満載なので、今自分が伸び悩んでいるなと思っている人や、現状を変えたいと思っている人に向いている本だと思う。