ゾウのうんこに会いたくてタンザニアに行った話②
「これ君?」と彼がスマホの画面を指さす。僕のfacebookの写真だった。
彼が迎えに来てくれたホストの知り合いだったのだ。アジア人が僕しかいなかったので、わかったらしい。
アフリカの人って超陽気な人ばっかりというイメージだったけど、迎えに来てくれた彼はすこし違っていた。落ち着いたトーンで話す、少し繊細そうな人だった。
景色がきれいなところで何度か車を止めて、「写真撮る?」と聞いてくれたり、たくさん気遣いもしてくれた(今思えば「アフリカの人」ってありえないくらい雑なくくりだ)。
ホストの家に着くまでの道で見た風景はとにかく広大で、本当にどの方向を見ても、どこまでも平地が続いていた。
その風景を見ていると、なんだか心が自由に触れたような気がして、涙が出そうになった。別に、旅行で来ているだけで、すぐに帰らなくちゃいけないんだけど、今ここにいることがうれしかった。そして、ここに来れた自分のことを好きになれそうだと思った。
ホストの家は、ちょっとした楽園みたいな感じだった。バナナ農園に囲まれてポツンとある家で、猫やら犬やら牛やら動物がたくさんいた。小さな庭の木にはハンモックもついていた。
ホストのゴドウィンさんはとても若くて自分とあまり歳も変わらなそうだったけれど、すでに子供が何人かいた。バナナ農園と宿(エアビー)の経営主でもあって、もう成熟した大人の男という感じだ。彼を見ていると、なんだか自分がとても幼く感じられた。
僕が泊まる部屋は離れになっていて、予想していたよりもずっと快適だった。ベッドに腰を下ろして一息ついていると、ホストのゴドウィンさんがドアをノックした。
部屋に入るなり「サファリに行くなら今日がいいよ!」と言われた。
続く…。
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