ゾウのうんこに会いたくてタンザニアに行った話⑥
焚火が終わり、自分のテントに戻って眠りにつこうとすると、外から動物の鳴き声が聞こえた。
「アウッ…アウォ~~~~~ンッ」「アウッ…アウッ…アウォ~~~~ンッ」
どう考えてもハイエナだった。
しかもあきらかに一頭じゃない。
本当に来た。たくさん。
「テントを破って侵入してくることはないから、こちらから開けなければ大丈夫らしいよ。」
同じテントで寝ていたグレゴが励ましてくれた。
「トイレに行っといてよかった」と心から思った。
そしてその夜は、ハイエナの遠吠えを聞きながら眠りについた。
次の朝、昨夜の恐怖を共有したくて「昨日ハイエナの鳴き声が聞こえたね。」とココに言ったら
「聞こえたね!変な鳴き声だったよね~。可笑しくて、私笑っちゃった!」
と言われた。
やっぱり一人で世界一周するようなひとは、度胸が違う。
3日目はセレンゲティ国立公園を車でひたすら走り回った。
遠目にゾウの親子も見ることができたけど、「うんこを探して!」とも言いづらくてその日はうんこをあきらめた。
その日の夜も2日目と同じむき出しスタイルの宿泊地だった。
その日もハイエナが鳴いていたけれど、改めて聞いてみるとココが言っていた通り、ちょっと情けないような鳴き声で、笑ってしまった。
ココがどんな風に周りのものを見ているか、ほんの少しわかった気がした。
いつもココみたいに世界を見ることができたら、きっと怖いものなしだ。
3日目の朝はなぜかすごく早く目が覚めた。
ちょうど日の出前の時間だった。
キャンプサイトはちょっとした丘の上にあって、そこから見た日の出は、それまで見たものの中で一番きれいだった。
ジャッキー・チェンが日の出を撮るベストポジションを教えてくれて、とても素敵な写真が撮れた。
日の出を見て、朝食まですこし時間があったので、キャンプサイトの周辺をぷらぷらと朝の散歩をすることにした。
キャンプサイトを少し下って、平地に出た。遠くに何か黒っぽい塊が見える。
つづく。
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