ゾウのうんこに会いたくてタンザニアに行った話④
僕は、はにかみながら、軽く挨拶をして席に座った。
どうやって会話に入ろうかともじもじしていたら、僕より一回り年上の男性が話しかけてきた。
彼はドイツ人なのだけど、なぜか「ジャッキー・チェン」と名乗っていて、皆からもそう呼ばれていた。
「どこからきた?日本?これ日本のカメラ!いいでしょ~!そういえば日本料理食べたことあるよ!あれは中華料理と同じだね!っていうかアジアの料理は全部同じ!チキンと野菜を塩コショウで炒めてライスにのっけるだけ!そうだろ?ハッハッハ!ウケる!」
僕がジャッキー・チェンのマシンガントークに圧倒されていると、隣に座っていた中国人の女の子が
「全然違うよ!」とあきれたように言った。
彼女は「ココ」という名前で、歳は僕と同じくらいだった。世界一周チケット(そういうものがあるらしい)を使って世界中を一人旅していた。ジャッキー・チェンとはケニアで出会って、そこから一緒に旅をしているらしい。
僕のグループには、この二人のほかにも、スイスの金融マンのグレゴ、ペルー出身でカナダのIT企業に勤めているヴァネッサ、ヴァネッサの同僚でボリビア人のロザーナがいた。本当に国も仕事もバラバラで、話を聞いているだけで面白かった。
その日の宿泊地は結構立派で、しっかりしたコテージみたいなところだった。
「これならハイエナが来ても安心だな」
とほっとして、僕はタンザニアに到着して初めての眠りについた。
2日目は早朝の出発だった。その日向かう「セレンゲティ国立公園」は少し離れたところにあり、長い移動になるらしい。
移動の最中にもキリンやらイボイノシシやら、わりといろんな動物を見ることができた。
僕は野生のキリンに感動していたけど、ジャッキー・チェンやココはキリンくらいではいちいち騒がなかった。二人はケニアでもサファリドライブに参加していたから、もう見飽きていたらしい。
長い移動を終えて2日目の宿泊地についた。
そこで僕は信じがたい光景を見た。
つづく
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