イタリア人みたいに、ハグしていい?(1)

イタリアから、成田空港に着いて、
電車に乗ったその瞬間、

僕は日本に帰ってきた事を
強く実感する。

これだけ多くの人が同じ電車の車両にいるのに、
誰も話さない。

本当に静か。
どこまでも、それを極めている。

ウキウキと胸を膨らませて話しているのは
成田空港に着いたばかりの外国人観光客。

日本人は必ずと言って良いほど、
スマホのスクリーンを無表情で操作しているだけだった。

成田空港に着く14時間前に僕がいたイタリアでは、
人と人が会う時は、

頰と頰をくっつけあって、
キスをする。

口と口ではなくて、
頰と頰をくっつけあって、
キスをする。

仲良い人だけではなくて、
偶然の機会で知り合った
見ず知らずの初対面の人とも。

年齢も、職業も、性別も関係なく、
皆、キスをするのだ。

右の頰にキスをしてから、次は左の頰に。
そして、その後に、ギュッとハグをする事もよくある。

僕が高校留学で初めてイタリアに行った時は、


そのキスが日本にはない文化で、
毎回、出会うイタリア人全員としなくてはいけなくて、

恥ずかしかった。
凄く、恥ずかしかった。



でも、数週間繰り返して、
キスをすることに慣れてくると、


そこに幸せ感じるようになる。


その頰と頰をくっつけるキスが持つパワーは半端なくて、
本当に一瞬にして、初対面の人との心的距離感を短くしてくれる。


初めて会った人とも、
まるで、仲良い友達の家族と知り合ったかのように
親密化していく、イタリア人の在り方に


僕は何度も何度も感動した。


イタリア人みたいに、ハグしていい?(2)へ
続く。

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