英語がもっとできれば、あの恋愛は変わっていたのだろうか
ニュージーランドにいる8ヶ月間のうち、5ヶ月くらいを一緒に過ごした人がいます。彼氏でもパートナーでもなかったけれど、恋人と呼んで差し支えないくらいには皆のまえで一緒にいた人です。彼の同居人たち(彼は3人で住むシェアハウスに住んでいて、家賃の高いニュージーランドではそれは当然の文化だった)は私が訪れれば当然ように迎えてくれたし、そのまま寝室に消えていくのも、当然のように受け入れられていました。
私にとって、その恋愛が最初の本気のものでした。恋に恋する状態で大学時代のしばらくを過ごしたけれど、好きすぎて苦しいことなどなかったから。私にそういう感情と、それから身体的なふれあいを教えたのは、ぜんぶその彼でした。だから私は、記憶が他の幸せな思い出によって薄れていくことを喜びながら、同時に過去の記憶を慈しんでしまうのです。
ここから先は
1,587字
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。 スキやシェアやサポートが続ける励みになっています。もしサポートいただけたら、自分へのご褒美で甘いものか本を買います。