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人を好きになる気持ち、忘れてなかったみたい
いつからか人を好きだと思うことを、簡単に認められない自分になっていました。人を愛おしくてたまらないと思った先にある感情の、身体が拒んでいる気がしました。だから、「もう恋の始め方なんて忘れちゃったよ」なんて笑ってみせる道化師になっていたんだと思います。
でも、その防護壁は分厚く作った割にいつも不安定にぐらぐらしているようでした。そして当の本人が、実はその壁の外に出たがっていたみたいでした。傷つくのはとても怖いけれど、また好きな人に好きと言われるあの幸福を味わいたいと、たしかに私は思っていました。
それでもぐるぐるとわからなかった私は、どこかで恋ができないんだと諦めていた気がします。どこからか王子さまが現れるという少女漫画のような奇跡が爆誕するか、それとも諦めという感情で静かに自分を殺していくか、その未来しか見えなかったんです。
だから、彼からの連絡を待ってとんでもないほどに不安を感じた自分を見つけた時に、私は焦りました。
待って!と自分に言いたくなったのです。それ、どんな気持ちなの、と問いかけたくなったんです。けれど、聞くまでもありませんでした。連絡が途絶えたかもしれないと情緒不安定な嘆きを幼馴染にメッセージして、恋愛映画を観て、アイドルのYoutubeに溺れて、その間も絶えずLINEの通知を確認し続けていました。
これ、好きじゃん。
私いつの間にこの人のことを好きになっていたんだろう。まだ数回しかあったことのない人なのに、その人ともう会えなくなるかもしれないという事実にたったの数時間の間に打ちのめされている自分がいました。
ああ、そういえば私ってこうだったよなと思います。恋をすると、なんにも手につかなくなってしまうんだったよなって。相手の前では余裕のあるふりをするのに、実際は全然余裕なんて無いんです。女友達の前では急に弱ってしまって、自分の中にあるもやもやもどろどろも何もかも話してしまいたくなります。そして一人になるといよいよ居ても立ってもいられなくなって、叫びたい衝動を抑えながら一人の部屋でうろうろとするんです。
こんなこと、しばらくなかったから困ってしまう。noteの文章すら作れなくて、ただ数分おきに通知を見てしまうだけ。こんな自分でいたいわけではないのに、自分では自分をコントロールできなくなってしまうんです。
ああ、私、この3年間でなんにも変わってないや。失恋だってしてきたのに、なんにもあの時と変わってなかった。最初から諦めていた恋は、私の中ではスキのカウントに入っていなかったみたいです。また、好きな気持ちに翻弄される私が戻ってきてしまいました。
おかえり、無防備な私。
おかえり、恋心。
あなたともう一生出会えないんじゃないかと思ったときには自分の未来を不安に思ったけれど、今はあなたが戻ってきたことでかなり心配になってしまいました。
まだまだ頼りない歩みを見守ってあげるしかなさそうです。
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