見出し画像

恋愛は私の全てを語らない

恋愛についての文章を書いているときが、一番楽しい。

それが文章のどこかにもにじみ出ているのか、それとも単にテーマと私のエッセイの相性がいいのか、私の読者となってくれる方々は恋愛に関する文章への反応率が高い気がしています。本当のところはよくわからないけれど。

でも、私はこの人生24年間で恋をしていた時間のほうが、他のことに没頭して生きてきた時間よりも圧倒的に短いんです。そして恋人がいた時間はさらにとても短い。まだ合計でも1年に満たないでしょう。好きな人ができるとかなり没頭する方ではあるものの、恋人に全てを握られているとは思っていません。

そして、恋をしていないと不幸せみたいなどこか世の中に漂う圧力が嫌いです。

恋人がいないクリスマスしか過ごしたことがない私にとって、世の中のありとあらゆるものが羨ましくて憎かった時期があります。そして謎に大丈夫だよと言われる時間。逆に何が大丈夫じゃないと思ってるの?この楽しそうに生きている私が?と怒り心頭でした。

実際に21歳の時に書いた記事はかなり尖っていて、そんな頃を愛おしく思えるほど大切にされる経験もする経験もしてきたと思うけれど、それでもクリスマスだけは私はひとりでした。(ひとりのクリスマスも今年で終わりそうなので、この文章に孤独のようなものを期待している方はすみません。)

でも私がいいたいのはそういうことではなくて、恋愛をしていてもしていなくても、恋愛は全てではないということです。


恋人という存在は確かに、ものすごく尊いものであると思います。自分のコンプレックスを受け入れられるようになったり、自分のことを今までより好きになれたりするから。誰かを大切に思うということは、そのままその大切な人が大切にしてくれている自分に返ってくるんです。

でも、今の恋人の有無、そしてその人の存在は、私の全てを語るものではもちろんありません。その人がいるから幸せなのは本当かもしれないけれど、その人がいなければ不幸なわけでもありません。確かにそう信じたときはあったし自分でそう思うのはとても勝手だけれど、それを他者にも強要すべきではないと私は思います。

そして私が憧れるのは、あくまで恋人を持っていても持っていなくても、その人自身が自信を持って自分を愛していて魅力的に輝いている人です。

その人がいなければ不幸であると思うほど深く人を愛したことがないだけだという方もいるかもしれません。

でも、私は学生のときには大学をやめて海外に移住したいと思うほど好きな人がいました。その人と分かれるくらいなら今すぐフリーランスにでもなんでもなりたいと思って、noteを始める前にブログまで立ち上げたのです。毎日泣いたし、毎日文章を書いたし、それはそれは恋愛に溺れていました。その人がいなければあのとき私は不幸だと思っていました。それは、自分のことを本当に認めてあげることができなかったから。そして初めて異性としてちゃんと愛されたからでした。

彼氏は今の私の幸せ全てを作ってくれた人ではない。私が築いて来たこの幸せを、認めてくれたそのことで、私をさらに幸せにしてくれているというだけ。

そのことをちゃんと分かる自分でいないと、それこそ不幸せだと思います。そこまでに私を作って来たのは、自分と、家族と、友人と、そしてかつて愛してくれた人のおかげだと私は思っています。それが全ていい影響だとは限りません。それでも、そんないろんな24年分の影響を受けて私は形づくられたのだと思っています。

自分の全てが恋人によって成り立ったと考えることは私はないけど、でも恋愛においてあたかもそう錯覚しそうになる瞬間って多いのかもしれない。その人だけの世界をつくりたいと願うこともあるし、この人を傷つける人は誰だろうが私が許さないと健やかな寝顔を守りたくなる朝があるのです。

私は幸せを彼に感謝します。できるだけ。ちゃんと私をみていてくれて、特別にしてくれてありがとうと。

でもこの幸せはちゃんと自分を信じてくれていた全ての人のおかげだと、それを忘れないでいようと思います。ここまで頑張って来た自分。私より私を信じてくれた家族。いつも私に笑顔をくれる友人。私に自分を信じさせてくれた元恋人。


恋愛を卑下するわけでも信仰するわけでもなく、ただ私の記憶として残しておきたいだけ。それが私が恋愛を綴る理由かもしれません。

好きなように生きればいいんだから、好きなように恋愛だってしたらいいと思います。だけれど自分の幸福は人の幸福とは異なるし、他人ありきのものだから自分勝手でもいられないのが、恋愛が自分だけで完結する趣味とは違うところかもしれません。

恋愛を語るときでも、その恋愛のかたちでも、少しだけ想像力を広げてあげないといけないなと自分にも思います。自分の無意識が誰かを傷つけることのないように、そんなふうに生きたいのです。



いいなと思ったら応援しよう!

mayu
ここまで読んでいただいた方、ありがとうございます。 スキやシェアやサポートが続ける励みになっています。もしサポートいただけたら、自分へのご褒美で甘いものか本を買います。