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ブリリアントワールド
朝目が覚めたらモーガン・ストロベリー・グッドマンは背が2㎜伸びていました。が、モーガン・ストロベリー・グッドマンはもちろんあだ名に決まっていました。實際は朝目が覚めたのはストロベリー・ジャムの事で、そのストロベリー・ジャムには生まれた時からずっと内股のところに可愛らしい息子が在りました。けれども名前どころかあだ名もつけていなかったのです。また息子の方がいつも早起きでした。
「おはよう、息子よ。」ストロベリー・ジャムは右手で息子を優しく擦りながらささやきました。「おはよう、とうちゃん!」息子は息をはずませました。
「息子よ、悪かった。とうちゃんは54年間御前に名前をつけていなかったよ。」
「名前!おれの名前!」
「そうだ。御前様の名前でなくてどうするってなもんさ。名刀には昔から名前をつけるものなのさ。だのにとうちゃんは小さいからって御前の事をぞんざいにしてしまった。小さいなりに頑張ってきた御前は名刀中の名刀さ。」
「名刀!おれは名刀!」息子は嬉しくて真っ赤にのぼせ上がりました。ジャムはそんな息子がいとおしくてあちこち擦りました。
「今日から御前はモーガン・ストロベリー・グッドマンさ。」
「モーガン・ストロベリー・グッドマン!」息子はドキドキして胸が張り裂けそうです。
「とうちゃん!とうちゃん!おれの名前、モーガン・ストロベリー・グッドマン!」グッドマンはつつましい性格で、名前が無くても気にする事なく機嫌好く仕事をしていました。だけどやっぱりとうちゃんに認めて貰いたかったのです。モーガン・ストロベリー・グッドマンは自然にキラキラとした歓喜の雫を流しました。
「あゝ、グッドマン。とうちゃんも最高にハッピーさ!」ジャムもまた喜ぶグッドマンをみて、なおさら擦り、胸が張り裂けそうになりました。
モーガンが名前だとか、グッドマンが苗字だとか、ジャムが名前だとか、ストロベリーって何なのさとかは、二人にとって一切関係在りませんでした。
長さが2㎜伸びて14.7㎝になりました。太さは変わらずですがなかなかの成果です。