最期の時

どうも。

(こちらは2018年10月に書いた記事です)

唐津のみっちゃんです。

今朝、むくのご利用者のヨシコさん(仮名)が永眠されました。

むくを利用し始めて、わずか1週間。

短い付き合いだったけど、最期の時に、むくとご縁があったことに感謝したいと思っています。

ヨシコさんのご家族から、むくを利用したいと相談があったのは今月半ば。

一本の電話が私の携帯にかかってきました。

主治医の先生からでした。

先生は、この地域の在宅医。

ヨシコさんとも10年を超える長い付き合いがあるそうで、最後は自宅でという家族の希望を叶えるためにも、むくが良いのではないかと、連絡をくださいました。

もう、口から食べることは難しく、かろうじて水分は取れているものの、自力で動くことはできないという状態。

病院では、点滴をされているとのこと。

家に帰れば、もう点滴はしないので、そのまま自然な看取りになるだろう、と。

むくでできる事は、あまりないかもしれないけれど、最期を自宅で迎える事に関しては、力になれそうです。

環境が変わることで、少しでも表情が出るかもしれない。

そんな期待もありました。

初めての面会は病院の病室で。

「初めまして」と手を握ると、強く握り返してくれる。

か細いながらも声が出る。

もしかしたら、少しでもその人らしくいられる瞬間ができるかもしれない。

その後、いろいろな調整をし、むくへ。

自宅と、むくの泊りを併用しながらいきましょうということになりました。

「起きていたい」という本人の希望を叶えるために、試行錯誤で車椅子へ。

ヨシコさんがお花の先生だったと事前に聞いていたスタッフが、なんちゃって生け花を用意してくれています。

子ども達が「こんにちは!!」と集まってきます。

にっこりと笑う瞬間もあり、ご家族は「表情が全然違う!!」と。

自宅では、自宅の様子を見せてもらい、今まで日中過ごしていた部屋にベッドを移動。

お仏壇が見えるように、ベッドを配置。

「この部屋でいつも過ごしていたから。ここにいるのが一番落ち着くと思います」と、お嫁さん。

その後、先生とご家族、むくとで話し合いが行われます。

お嫁さんは、普段は家に1人なので、独りで看取ることに不安を感じている様子。

亡くなる瞬間まで、ずっとそばにいられるか不安。

そんなことを話されます。

先生からは

「わかるうちに連れて帰ってあげるかどうかは、家族の判断次第。亡くなる直前に連れて帰ることも可能だよ。でも、自分の家だとわかるうちに行った方が、本人にとってはいいんじゃないかな」と。

「ずっと本人の傍にいなければいけないわけじゃない。離れていたって場の空気を感じることはできる。本人がどう感じるかが大切なんじゃないかな」

そんな話をされました。

むくで3日過ごしたのち、自宅へ。

病院からむくへきて4日。

もちろん、点滴もしていないのですが、表情は穏やか。

でも、もう、声掛けには反応もありません。

むくからは、毎日午前、午後の訪問看護、介護を約束し、家までの移動は民間救急車を利用することに。

余談ですが、民間救急車は寝たきりの方の移動というだけでなく、美容室や買い物に連れて行ってくれたり、旅行などにも同伴、協力してくれるそうですよ。

良いサービスだと思います。

ご自宅に帰られてから「お仏壇に手を合わせましょうね」と声をかけると頷かれ、「お線香あげますか」の問いかけにも頷かれていました。

代わりに、お線香をあげさせていただき、ご家族に「何かあったら、いつでもご連絡くださいね」と伝えたのが、昨日の話です。

そして、今朝。

「心肺停止されました」との連絡。

短い時間の関わりではあったけれど、最期にむくを選んでくれてよかった、そう思います。

むくが開所して1年半。

1人目も、2人目も、3人目の看取りも施設ではなく、在宅でした。

在宅での看取りは、いろいろな条件がそろわなければ難しいと思います。

家族の覚悟、在宅医の存在、スタッフの体制。

ありがたいことに、この地域には3人の在宅医の先生がいます。

むくだけでは、何も完結しない。

まだまだ、よちよち歩きです。





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