3_6_筋トレが一年続いた結果
「教科書に書いていない勉強法」シリーズ-6
【筋トレが1続年いた結果】
今回はこれまでと比べて毛色の違う内容です。題目にある通り、去年(2023年)8月後半から筋トレを続けて1年経ち、丁度2024年9月の職場の健康診断の結果が返ってきたのでその辺も踏まえて書いていきます。
大まかにそれまでの状況、筋トレを続ける方法、健康診断の結果の流れで書いていきます。
1.背景
2019年(令和元年)12月COVID-19(以降コロナ)発生。よく歩く習慣があったのですが、出歩くことが減りました。運悪く翌年度が失業中に通学していた医療の専門学校の最終学年で卒業試験(10回)と資格試験を控えており、成績上では何の問題がなくとも周りに移すわけにも行かないので物忌みに入りました。(元より人混みが嫌いだから繁華街を歩いても商業施設に入る習慣はなかったですが。)室内での小ぢんまりとした中国武術の練習だけではカロリー消費も少なく体重が60 kg代後半(身長172cmでは適正)から推定5kg程度増えました。
さて、無事に卒業し、資格も手に入れ就職しようとしてもまともなところ(胡散臭くない、だらしなくないところ)がなく、足踏み状態でいたところで住んでいたアパートが急遽取り壊しとなって親族の家に転がり込んみました。これが致命的でした。親族とは言え他人の家ですから室内で武術の練習をする気も起きず、就職活動中で他に気を回す余裕もなく、肉体的には自堕落な生活になっていました。ここでの健康診断の結果では78 kg(BMI 26.4)でした。
2022年(令和4年)年明け、健康診断の結果から非常に拙い状態と判断し、医療の仕事には行かず、とりあえず化学の仕事に戻って生活費と後の開業資金を稼いで体を動かして健康状態を保つことにしました。
こうして、元の生活に戻って多少歩き回るようにはなったのですが、数年間体をまともに動かしてこなかったつけが溜まって筋力が大きく衰えてしまいました。通勤中に急な階段があるのですが、ここでふらついたために脚が弱っていることに気が付きました。これが2023年(令和5年)春のことでした。
この時(2022年秋)の健康診断で、体重は76 kg(BMI 25.7)と少し減っていました。恐らくこれは久しぶりに仕事を始めて体を動かすようになった分でしょう。
2.筋トレを開始するまで
当時48歳、筋トレはしないものの週末には10km程度は特に問題なく歩いていたのが、久しぶりに歩いてみると5km程度で息切れ。横断歩道で小走りすると脛の骨に違和感(ランナー骨折が起こる部分に剪断力が働いたような気持ち悪さ)。膝上(膝蓋骨底から上方)10cm程度を両手でつかんで指先が届く(太腿が細くなっているということ)。と言ったかなり危ない状態だったのでこれまでやってこなかった筋トレを始めることにしました。
しかし、中国武術の練習でもそうでしたが、風邪をひいたり、過労で動けなくなったりすると練習を休んで、それ以降数か月練習しなくなる癖があり、この時もそれが起こりました。
これは非常に拙いと思いましたが、何とか続ける方法は全く思いつきませんでした。ここまで書いていますが、私は筋トレが大嫌いです。学校(小学校~高校)と同じくらい嫌いです。やることが単純作業の繰り返しで、鍛えられても回数が増えるだけで何も変わりません。その上に私は何かを数えるのが大の苦手で10を越えた辺りから順番が分からなくなります。未だにスクワットなどの回数を数え間違えることが多々あります。嫌いなものを続けるのは気力だけでは何ともなりません。そこで他者の知恵を借りることにしました。
ツイッター上には健康のために筋肉をつけることを勧めている医師が多数いらっしゃいます。そこで目についたのが糖尿病専門医の大坂貴史先生(筋肉博士 @muscle_penguin_ )の筋トレの説明やyou tubeの動画でした。先生は非常に丁寧に筋トレの重要性や続け方を説明なさっておりそれを参考にして続けてみることにしました。
曰く「はじめは1回でいい」「とにかく続けられるようにする」と敷居を低くしてとっつき易くすることをお勧めされていました。加えて、「調子の悪い時でもできる軽い運動を用意するのはどうだろうか」との提案も頂いて、私が最も問題視していた部分の解決法も得られました。
これは今の高齢者にはかなり重要ではなかろうかと思います。学校で「腹筋〇回できなければだめだ」とか「毎日やらないと振出しに戻る」とかさんざん言われた世代ですから、筋トレは一部の運動好きにだけ達成できる苦行と捉えられている可能性が高いです。自ら「少しだけでいいから続けていく」と言う考え方に至ることはまずないでしょう。
先生曰く「はじめは1回でいい」でも効果はあるとのことなので増やせるなら後から考える方法で行くことにしました。
3.筋トレ開始
と言うことで、最初に階段でのふらつきが気になったので下腿(膝から下)を鍛えることを考えました。前提として、部屋が非常に狭く、引っ越しが多い仕事であることから道具は買いません。従ってダンベルなどは使いません。なるべく簡単にするため、朝目が覚めたら足首の外回しと内回しを10回ずつ、加えて老後の排泄のことを考えて骨盤底筋体操を10秒することにしました。
これなら疲れも回復しているし忙しくても忘れる可能性が低いでしょう。足のケガでもない限り調子が悪くてもできます。実際、コロナワクチンの副反応で寝込んでいる状態でもできました。
ここで本来なら調子が悪い上に足を怪我した時の筋トレも考えるべきでしたが、立てない前提での筋トレをまるで思いつかなかったので後回しにしました。と言うのも当時は腕立て伏せの最初の姿勢すら5秒がやっとだったので本当にやれることがほとんどない状態でした。ここで少しだけ道具なしの弱点が出ました。
2023年(令和5年)10月、つまり開始後2ヶ月で会社の健康診断がありました。この時が体重78 kg(BMI 26.4)と元に戻りました。開始2ヶ月で筋トレの影響が出ることはないでしょうから、その前の続かない運動は大したことはなかったと言うことでしょう。
ここから危機感が増して「少しだけでいいから続けていく」を真剣に取り組むことにしました。
開始2ヶ月で幾分慣れてきたので足の外回し・内回しと骨盤底筋体操の数を少しずつ増やして行きました。いきなり50回とかは行きませんし、1年経過しても未だに足の外回し・内回しは50回ずつ(合計すると100回足首を回す)まで至っていません。
この辺りで上半身も鍛えることにしました。仕事で顕微鏡を長時間覗くことが多く首~肩がかなりきつくなっていたからです。とは言え、いきなり腕立て伏せ100回とかは行きませんし、目標にすらする気になりません。恐らく今後もしないでしょう。ゆるゆるで行きます。
前述の通り、最初の姿勢で5秒維持するのがやっとでした。これを2週間程度かけて10秒まで持っていきました。ここで腕立て伏せをやってみましたが、1回もできなかったので爪先ではなく膝を支点にして5回できるまで持っていきました。記録はしていませんが、1ヶ月はかかったと思います。
ここから最初の姿勢の維持を20秒、膝支点の腕立て伏せを10回までできるようになるまで約1ヶ月かかりました。12月の半ばつまり一連の腕立て伏せのための筋トレを2ヶ月続けた後、ようやく爪先支点に切り替えて5回できるようになりました。
現在は最初の姿勢の維持40秒と腕立て伏せ15回と増やしていますが、無理はしていません。なにせ腕立て伏せは器具なしの筋トレの中でも嫌いなものの上位に入りますから。嫌いな上に鍛えてもなかなか回数が増えないし、回数が増えても数えることが苦手なので更に不機嫌になります。今でも嫌いで機嫌が悪くなるので最後にするようにしています。(最後にもっていかないと途中でやる気が失せるので。)
続いて下半身の筋トレの話に移ります。少し脱線しますが、私は寒さが苦手なくせに年末に必ず遠足をするようにしています。大学時代から行っているので四半世紀は続けています。約20 km程度は歩くので、先程の歩けないことはこの点で非常に問題です。実際、2021~2022年は余り歩けていません。2022年は5 km程度歩いたところで汗の不始末による頭痛も加わって電車で逃げ帰りました。このこともあったので、下半身の筋トレも追加しました。上半身の筋トレと違って目的があるので筋トレが大嫌いでも機嫌はそこまで悪くありません。上半身の筋トレの追加とほぼ同時期に追加を始めました。
スクワット10回(実際は武術の練習法も含まれているので微妙に違う)、ゆっくりの足踏み10回(これも前述同様)、片足立ち5秒から始め、徐々に数を増やしていきました。現在はこれに空気椅子(これも以下略)、四股(足をゆっくり下す)などを加えています。上半身と違って回数が比較的簡単に増えるので数え間違いが頻発するのが難点です。
このような感じで種類と回数を増やしつつ、調子が悪い日や仕事がきつい日は減らしながらやってきました。数の増やし方は、調子が良い日に少しだけ増やして慣らして、そこから定常的にその数で続けるようにしています。従って、いきなり「10回追加」とかはやりません。腕立て伏せなどは本当に大嫌いなので、調子が良い日に1回増やしてそれが続けられるならそのまま増やし、きついようなら元に戻すようにしています。
4.筋トレが1年続いた結果
現在、通常コースなら足回しなどの朝のコースを除いて20分程度かけてそれなりに汗だくになります。これを調子の良し悪しでの増減はあるものの、1年間続けました。2024年(令和6年)9月の健康診断の結果では、体重が72.6 kg(BMI 24.5)と大幅に減らすことができました。腹囲も91 cmから83 cmに減りました。残念ながら体脂肪率は出ていないので不明ですが、前述の太腿の太さが指が届かない程度まで増えました(筋肉が増えた)。体重が大きく減って筋肉が増えているので体脂肪率は下がっているはずです。血圧は不思議と70-110 mmHg前後のままで変化なし。30代半ばまでは60-90 mmHgだったのでもう少し減らしたいところ。
脂質異常がありますが有機溶媒の使い過ぎで体を壊してからずっとLDL 150 mg/dL前後のままなのでこちらは筋トレではどうにもならないでしょう。筋トレだって万能ではありません。
ここまでは健康診断の結果ですが、ここからは普段の運動や体調に関してです。
まず、前述の少し歩いた程度での息切れや階段でのふらつきは3ヶ月でなくなりました。毎年恒例の年末遠足も20 km程度歩けました。翌日に疲れが残りましたが開始4ヶ月でこれなら次回はもっと楽になるでしょう。小走りした程度での違和感は1年でなくなりました。骨が弱っていたのだろうと思いますが、これは宇宙飛行士が運動で骨の強度を保つことが知られているので納得の結果です。
一方で仕事での肩や腰の痛みはどうしてもなくなりません。これは職業の問題で、一日中動き回る実験があった翌日に一日座りっ放しの分析が入ったりする極端な仕事なので、仕事中にちょっとした運動を入れるなどして対策を取ってはいても限界があります。とは言え、帰宅後の運動で筋肉の硬結(凝りのこと)を取り除くことでどうしようもない状態の手前で踏みとどまることができています。
例えば、肩甲骨から上腕(二の腕)に伸びる筋肉の間を感覚神経(皮膚の感覚を司る神経)が通っていますが、これがデスクワークが続くとこれらの筋肉がこわばって神経を挟みこんで圧迫し、腕に痺れが発生することがあります。これを普段から筋トレをすることで筋肉が硬くなることを防いで何とか痺れが起き難い状態で維持することができました。完全ではないものの筋トレである程度の予防ができていると考えられます。
筋トレの効果と考えられるものの最後に普段余り言及されることはないけれど恐らく可能性があるだろうというものを挙げていきます。
先ず、夏の暑さでばて難くなった可能性があります。筋肉と贅肉(脂肪細胞)では筋肉のほうが水を貯蔵し易くなっています。筋肉には血液が大量に巡っていますが、贅肉にはあまり回っていないからでしょう。大雑把に血液の半分は赤血球ですが、半分は水です。贅肉は見た目こそタプタプして水っぽいですが大量の水が回っているわけではありません。筋肉の場合は血管と筋肉の間に水(間質液)があります。肉料理を作ったことがある方は思い出してみてください。脂身からは血も水も大して染み出しません。従って、水を蓄えるには筋肉を増やしたほうが良いという予想ができます。
まだ、筋トレの効果が出てから冬が来ていないので予想でしかありませんが、寒さに強くなった可能性があります。前述の通り贅肉より筋肉のほうが大量に血管が張り巡らされています。血液を熱媒として体幹部の熱が末端に運ばれています。筋肉が多いということはそれだけ血管を通って熱が指先まで行き渡るということです。また、筋肉がマフラーの役割を果たしていることは経験則としてご存じだと思います。筋肉が増えたことで腕や脚の途中で血液が冷えることを防げるのでこれもまた寒さに強くなる可能性を示しています。
と言う感じで、1年間の筋トレで良い状態に回復していると思います。前述の筋肉先生の観測範囲では筋トレが楽しくなった患者さんもいらっしゃるようですが、私は相変わらず筋トレは大嫌いです。それでも続けておけばそれなりの効果は期待できるのですから、この調子でとりあえずは2年継続を目指すことにします。
5.雑感
ここで閉めておけば綺麗に収まるのですが、そうはいかないのが向嶋クオリティ。健康診断の結果が出てこれを書いている間に同僚(年齢40代、 以降A氏とする )の送別会があったのですが、酒の席(私は飲めません)で語られた同僚の減量が凄まじかったのでこれも書いておきます。
詳しい数字は話していませんでしたがA氏はかなりの肥満だったそうです。ところが、ここ数年間毎日1時間水泳をし、平日は糖分を朝しかとらず、毎日プロテインを摂取すると言った生活を続け、直近1年で体重を10 kg減らしたそうです。私にはここまで気合の入った減量はやる気が起きませんし、運動が嫌いな方には絶対勧めません。これはA氏の置かれた状況が特殊なだけです。A氏は数年前結婚したばかりで家族の要望と監視があり、本人は泳ぐことが好きな気配が見られました。環境も本人の好みも揃っていました。繰り返しますが、状況が違います。比べてはいけません。
しかし、数字だけを並べてしまうとどうしても見劣りしてしまうのが難点です。私個人は自分の結果を問題視していませんが、他人に話すときの説得力ががた落ちです。
ここら辺は学校での体育の授業なども影響していると思います。私は体育の授業が大嫌いでした。どうやったら健康的に鍛えられるかと言った観点から話す教員は誰一人としておらず、前述のようなスポ根のようなセリフを多数聞くことになりました。それでも平気で何も考えずに走り回っていられる人なら部活でも平気なのでしょう。飲み会ではA氏は他の同僚と高校での部活の話をすることもあったのでスポーツには何の抵抗もないのでしょう。私はスポーツの話自体大嫌いです。
年末の遠足や中国武術の話をしているので分かると思いますが、私は体を動かすことが嫌いなのではありません。体育の授業や部活とその延長線上にあるとしか思えないスポーツ界隈が嫌いなだけです。従来の筋トレはその中に含まれているとしか思えない昭和の遺物くらいの感覚で見えています。
筋肉先生の「1回でいいから」はそれだけで健康的に鍛えると言う視点を表しているものだと思えます。それ故「それならやってみるか」と言う気にさせてくれました。学校の体育も早くその領域に至ってもらいたいと思えてなりません。