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理想的なUXデザインの実現に必要な「不便益」
まず、「UX」とは?
UX=User Experience=ユーザーの体験価値
UXとは、製品やサービスとの関わりを通じて利用者が得る体験及びその印象の総体である
UXが設計できているほど、ユーザーにとって適切なものを定義することができる
つまり、UXのゴールとは、顧客満足度に注力してサービスの価値を向上させることである
その為、どんな手段をとっても、顧客が満足しているならそれはUXを設計できていると言える。
上記の理由から、ユーザーを最大限満足させられなければUXをデザインできたとは言えず、「便利になったから」「求めていたものが見つかったから」「良い発見ができたから」以上に
「〜から満足できた」と言ってもらえて初めてUXがデザインできたと言えるのである
逆に言えば満足させることができるなら一見ネガティブな印象を抱いてしまうもの事でもUXをデザインすることができるのではないかと考えた。
UXの可能性
そこで色々調べていた中で、ある記事が上記の考えとマッチした。
こちらの記事にある「空港」の話だが、
空港で荷物を受け取るまでの待ち時間が多くクレームが鳴り止まなかったから従業員を増やしたが改善されなかった。しかし荷物を受け取るまでの道のりを長くして「待っていると感じる時間」を減らすと一気にクレームはなり止んだという話で、
明らかにユーザーを不効率にさせているのに、ユーザーは「満足」している。
ということは、不便と満足は必ずしも比例されない証明ができるのではと思った。
そうして調べていく中で、たどりついたのが不便益である。
不便益とは
不便益とは、シンプルに、あえて不便な構造になっているからこそユーザーが「良い」と思える「価値」である。
不便益の例フィルムカメラ「写ルンです」:限られた枚数しか撮れない、粗い画質、SNSに投稿する手間はかかるが、スマホの写真にはない独特の世界観を表現できる
旅館「星のや京都」:星野リゾートが運営する旅館「星のや京都」は陸路からアクセスできない。桟橋から小舟に揺られる顧客体験は、「行ってみたくなる」を誘発する。
絵本「ウォーリーをさがせ!」:こまごまと描かれた人込みから主人公ウォーリーを探す。手間と頭を使うが、見つけるとうれしい! 世界的ベストセラー。
その他
造花は水をやる必要がなくて楽ちんだが、世話をしないと枯れてしまう生花に愛を注ぐ方が好きだ
遠足のおやつは「300円まで」(なぜかいつの時代も)と制限されるからこそ、お菓子コーナーでは気合が入るのであり、その楽しさは今も覚えている
YouTubeでもアーティストのライブは見られるのに、わざわざ雨ガッパで山奥の夏フェス会場へ足を運び、どろんこずぶ濡れになって見たあの日のステージが忘れられない
などなど、不便だからこそメリットに感じるものは世の中に色々ある。
UXデザイン=不便益の活用力
私は上記の内容から、満足させる為にはただ便利にしただけでは難しく、いかに便利以上の付加価値を提供できるかだと考えた。その付加価値は不便益という便利じゃなくてもメリットに感じる手段をいかに取り入れ、さまざまなアプローチでユーザーを喜ばせられるかであると思った。
例えばサービスを開発してもただ便利で使いやすいサービスではなく、不便益的な機能を取り入れることで真にユーザーは使う意味を感じて満足すると思うし、差別化もできる。満足できるということは、使い続けたいと思ってもらえる鍵ともなるのだ。
私はそれを叶えるのが「不便益」をいかに活用できるかであると思っている。