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フロ読 vol.8 松岡正剛『神仏たちの秘密』 春秋社

あまり何も考えずにフロ読すると、高確率でこの本になってしまう。そもそも好きな一冊であるだけではなく、これがまたたまらなくフロに合うのだ。
 
北斗を地上に降ろして踏む動作、反閇や禹歩は出陣前の儀式として行われたそうだ。それはまた太極拳の太和の呼吸にも通ずるという。書いてある内容も綴っている文のリズムも、洗体のために何度も座り直したり、浴槽に身を沈めたり、湯の揺蕩いに身を任せる時と波長がピッタリ合う。
 
「結び目」の話もそう。あるいは解き、あるいは締め…フロの内で行われているリラックスと清めと、実に調子が似通っている。
 
この調子に乗りながら「おとづれ」や「影向」を待つ…頭の中を緩めたり締めたりしながら…これこそフロ読の妙味だ、とか初回で語っていたらカッコよかった。後の祭り。
 
「世の初めに隠されたこと」について想いをめぐらすのは、やはり一日の終わりの湯の中が最高かもしれない。
 
  神仏と歴史を偲ぶお湯の中    無可

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