雨の日の官能
春の雨の日に
雨露が、レンガを滴り垂れている。
レンガ壁は黒く生き物のように光り、錆びついた看板がぼうっと立っている。
強かな雨水に、すみれの花は押し花となり、
艶かしい光沢を放っている。
ランプシェイドにたわわに実った水滴は、地面を目指して成長を続ける。
盛り上がった水滴から、わたしは目を逸らす。
雨の日の官能!
誰知らず、地面は光沢を帯びてゆく。
誰も知らぬまま、知らぬまま。
むじゅん
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