岡本かの子『過去世』
『文豪たちが書いた耽美小説短編集』(彩図社文芸部編纂,2015,彩図社)収録、岡本かの子の『過去世』を読了。
「古墳の中の空気をゼリーで凝らして身につけているようだった。」
「だんだんと募る夕闇の中に銀の食器と主客の装身具が、星座の星のように煌めいた。」
はっと息を飲むように美しく、巧みで、非現実的なのにありありと想像できてしまう著者の比喩表現には目を見張った。
岡本かの子の作品を読むのは初めてだったが、あまりの美文に引き込まれてしまった。
静かでいて、薄赤く輝く人間の皮膚を感じられるような──。
まさに、“美”に“耽る”読書体験であった。
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