海街diary
【海街diary】
監督 是枝裕和☆原作 吉田秋生
「両親を許せない長女と自分を許せない四女。それぞれの想いが複雑に絡み合いながら4人が本当の姉妹になっていく物語」
歩くと床がきしむ音が聞こえそうな古い家屋。長女・幸(さち)が丹念に拭き上げる階段。同じく長女・幸がお米を研ぐ姿。姉妹それぞれが漬け込む梅酒。
先日観た“西の魔女が死んだ”同様に、丁寧な暮らしというものを存分に堪能させてもらった。
みんなの食べっぷりが豪快で、みんなの喧嘩っぷりに幸せを感じて、頬が緩む場面が何度もあった。
胸に刻まれた、あらすじにも出てこないエピソードがある。完璧主義で口やかましい長女・幸。それは職場でも同じようだ。映画の前半で(画面には出てこないが)“あらい”という事務処理的にあり得ないミスを繰り返す新人ナースのことをボヤいていた。そんな幸が映画の後半で、終末期病棟へ転属した際、亡くなられた患者さんに対して、存命のときと同様に声をかけながら丁寧にカラダを拭いてあげている“あらい”の姿を見たらしい。(何せ“あらい”は画面には出てこないのだ)
「あらいって、あんな風にエンバーミングするんだ……。」と心奪われ「これまで他人の悪い面しか見てこなかったかもしれない」と気づく。映画ではさらっと流れたエピソードだったが、なにか痛いところを突かれたような感じがした。
ストーリーは淡々と流れていく。おそらく、“四姉妹それぞれの想いが複雑に絡み合う”という点については原作を読んだほうが、よりグッとくるのではないだろうか。
原作を先に読むか映画を先に観るか、いつも悩まされるところなのだけれど。
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