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詩・短歌

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自作の詩や短歌をまとめました。抒情・感傷がテーマになっている作品が多くあります。読んでいただけると嬉しいです。
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記事一覧

短歌二十連『感傷町三丁目』

感傷は物心ついたときから私のポケットにいつもありました。 そこに一握りの抒情が混ざったと…

屑木夢平
3か月前
4

【詩】拒絶する

 子どもは大人を拒絶する  ああしろこれをするなと言うが  理由を教えてくれないから  若…

屑木夢平
3か月前
4

【詩】拳銃

雨上がりの住宅街 スーパーからの帰り道 おぼつかない足取り まだ濡れている傘の先端から 涙み…

屑木夢平
2か月前
3

【詩】朝日に逆らい

 大津通を北上するトラックが  クラクションを鳴らしながら軽自動車を追い越していく  その…

屑木夢平
2か月前
3

【短歌】死にたがり讃歌

人知れず夜空の裾を切り取って喪服仕立てる十三回忌 月を見て綺麗ではなく死にたいと言うあな…

屑木夢平
2か月前
5

【詩】僕の無価値

何はともあれお金が必要だ 薬に混ぜてアルコールに溶かした傷病手当 やりがい搾取の人生に貯金…

屑木夢平
2か月前
7

【詩】埠頭、二十五時

四分休符無応答の埠頭 労働苦労疲労と不幸 孤独な咆哮を送ろう 対岸煌めく夜景の向こう 夜風に燻るラキストの蛍火 それを飲み込んだ工業地帯のライトアップ 晴れた日には禁煙してるフリをして 夜と曇りの日ばかりヘビースモーカーの煙突が 冬の寒さで肺を痛めている コンテナを積み上げて築いた城壁 ブロックを連結させて出来たあの牙城 資本主義と情操教育が同居する名古屋港 暗がりに響くサイレンは寝静まった子どもらの耳をもつんざくというのか 二分休符不穏当の埠頭 妄想流浪異様の腫瘍 恐

【詩】忘れ物

 雨だというのに傘を忘れて  駅まで走る帰り道  額に貼りつく前髪が  なんだか惨めに見え…

屑木夢平
2か月前
16

【詩】鬼がいる

 鏡の中に鬼がいる  人のふりした鬼がいる  外では優しい顔をして  心の中に怒りを養い …

屑木夢平
2か月前
5

【詩】グラフォフォビア

 文字が怖い 「a」を押せば「あ」と入力される単純さと  この喪失や鬱屈の代名詞が見つから…

屑木夢平
2か月前
9

【詩】二十六時の女子大小路

二十六時の女子大小路 賞与と傷病手当の浪費 鬱憤と鬱屈の飛沫 独りじゃ心晴れない始末 明日…

屑木夢平
2か月前
5

【詩】偽ロソフィー

 にわか雨が走り去った後の  公園の砂場にできた水溜まり  水面に映った僕の顔は必要以上に…

屑木夢平
2か月前
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