小さなお客様
私が働く服屋さんがあるのは、この辺りでは唯一のショッピングセンター。週末になると家族連れでにぎわいます。
今日はお店で出会った、小さなお客様のお話を聞いてください。
大きな店内に人がまばらでも、試着室はコンスタントにお客様がやってきます。
お店の一番奥にある、コの字型の試着室には部屋が8つ。
その時使われていたのは、そのうちの2部屋。
ひとりでふらっと現れて、試着室の一つの部屋を見つめながら立っている、恐らく3歳ころの男の子。
明らかに試着をする様子でない男の子に声を掛けました。
私「こんにちは。誰かと一緒にいるの?」
男の子「お父さんが中にいるの。」
私「そーなの?」
(試着室に入ったの、男の人だったかな?)
私「お父さんホントにいる?」
男の子「うん」
私「そうか。じゃあ、この椅子に座って待っててね。」
と、また声をかけ椅子を指さすと、
大人しく座る男の子。
ただ、仕切りはカーテンだけなので、この会話が聞こえているはずなのに、”お父さん”から何の反応も試着室からないのは、ちょっとおかしいなと思い始めました。
もう一度、男の子に話しかけました。
「お父さんのお名前何ていうの?」
男の子「*****」
私(ちょっと聞き取れなかった)「ごめんね、もう一回教えてくれる??」
こんなやりとりをしながら、ふとフロアの方を振り返れば、少し先で明らかに誰かを探している様子のお母さん風の人と目が合いました。
男の子探してます??
と、口パクで声をかけると、ひょこりと顔を出した男の子の顔を見て、
手招きするお母さん。
「お父さん、試着室にいると思ってたみたいです!」
と今度は少し大きめの声を出して伝えました。
するとお母さん、あきれ顔で、
「お父さん、入り口で待ってるのよ!」
言葉もまだままならない男の子が、お父さんが試着室にいると信じて、
出てくるのを待っているのが、とても可愛くてほっこりする気持ちと、
この大きなお店の中で、簡単に子どもは迷子になってしまうな、という
心配な気持ちにもなりました。
そして、私自身の子どもたちの小さな頃のあんな事、こんな事を思い出しては、背筋がゾゾゾとなるのでした。。。
とりあえず、無事にお父さんにのもとに戻ることが出来て良かったです。
という、小さなお客様のお話でした。
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