産後は歯医者で治療中ですら癒やし時間だった
「痛かったら手を上げてくださいねー」
歯医者の先生が優しく声をかけてくれた。
今歯医者にて、今年初めての治療を受けている。
詰め物が古くなっていてずっと「隙間ができているので、変えたほうがいいですよー」とオススメされていた所をずっとあとまわしにしていた。
年明けてやっと治してもらっているのだ。
「麻酔が効きにくい人は、治療辛そうなんだよね」
ずっと昔にアルバイトしていた歯医者の先生の言葉を思い出す。
私は麻酔が効きやすいタイプのようで、注射をされるとすぐに効いてきて、麻酔の追加など不要で治療できる。
歯を削るドリルの音を頭蓋骨に感じながら、
『産後すぐの頃は、歯の治療でさえも一人の時間が嬉しかったなぁ』
と思い出した。
一人の時間に買い物したりカフェに行ったりすることもたまにはあった。
しかし、そんな時でも常に赤ちゃんとの生活を円滑に勧めるために先のことを考えて、今何をすれば効率がいいのか模索していた。
「夫に預けた子供は泣いていないか」
「そろそろ夕飯の買い出しに向かったほうがいいのか」
「一人の今だからできることはなんだっけ?」
計画的に物事を進めるのが苦手な私は、常に頭の中が詰まっているようなこの状況がもどかしかった。
しかし、歯医者の椅子に横たわっているときは他にすることを選びようがない。
そうすると、自分自身と今の瞬間に気持ちが戻ってきて、日々いかに慌ただしく過ごしているかを思い出すのだ。
これは自分自身を取り戻すようで、とても気持ちが充実した。
しかし、今この瞬間に自分の意識を集中させる為に毎回歯医者に通うわけにはいかない。
頭がパンパンになっている時こそ、自分の今いる空間を五感で感じてみるとかなりスッキリする。
良かったら試してみてほしい。